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母親になることでこれだけ高い確率で収入と経済的安定が失われるとしたら、多くの女性が結婚を遅らせ、彼女たちの家族の構成員が少なくなっていくのも当然といえるだろう。
同様に、日本の若い男性が生涯の仕事を手に入れることは非常に難しくなり、経済的な展望を惨めなものにしている。現在のシステムは、いったん就職すると、ライフサイクルに合わせた横の移動が難しい。若い人々が自分の家族を持つことや消費に抑制的になるのは無理もない。
私は日本のシステムが果たしてきた役割を称賛しているが、新しい長期戦略が求められているのだ。すでに終身雇用制は崩れつつあり、日本社会と労働者は苦しんでいる。重要なことは事態をずるずると引きずるのではなく、積極的かつ迅速に、国民に明るい将来図を示すことではないか。
問題解決のため、日本には「労働市場のビッグバン」が必要だ。キャリアの途中での転職という、横の移動を劇的に増やし、母親たち(そして父親たち)が出世競争から2、3年離れて家族に集中することを可能にする。そして、不況時に学校を卒業してしまったために、生涯の仕事への就職の機会を逸した若い労働者に、よい職業に就く機会を得させる。団塊の世代が退職するのに伴い、日本の労働力は激しく減少する。従って、景気が回復すれば、すべての人に十分な仕事は提供できるだろう。
同時に、企業向けではなく、個々の労働者向けの職業訓練と教育のプログラムを整備し、外国人労働者を含めたあらゆる労働者の保護や失業時の保障、時間外労働時間の規制などを行うことも重要だ。
日本に必要なのは、この機会をとらえ、この新しいシステムが、労働力が縮小し、経済状況が急速に変化する日本の将来にとって、ずっとふさわしいのだという確信のもとに柔軟性を取り入れるリーダーなのだ。
そして経済を二つの意味で減速させる年金の問題がある。第一に、日本人は年金制度が存続可能なのか心配でならない。経済的展望に自信が持てないため、みな支出を減らし、より多く貯金をしようとする。それが経済を内需よりも輸出に一層依存させていく。
第二に、現行の年金制度を維持するため、給料に応じ支払う労使折半の保険料の額を高くせざるを得ない。それが本来は支出をし、景気を刺激するはずの勤労世帯から、一定の現金を奪ってしまう。同時に、雇用に伴う重い負担は、雇用創出を遅らせる。
日本は、雇用に対し財政的負担になる年金システムから転換する必要がある。国民が年金の基盤がしっかりしたものだと知れば、彼らはどうしても貯金を、とは思わなくなる。そして、雇用にかかる負担が軽くなれば、雇用主はより多くの人を雇えることだろう。
主な代替歳入源として、いま議論されているのは消費税だが、あらゆる消費を冷やすのは日本が望むことではない。代替案として考えられるのは、消費を抑制すべきものに税金を課すこと。例えば、ほとんどを輸入に頼る石油などの化石燃料などが対象に考えられる。
短期的にすべての負担をここに転嫁するのは難しいが、日本の指導者たちが、この方向に動き出すことはできる。他国の指導者と協力して、炭素税を協調しながら上げていくことで、日本の産業が国際競争で不利な立場に立たされることは避けられる。
おそらくエマニュエル氏は、世界中の指導者が短期的な弥縫策に目を奪われるよりも、現在の危機を奇貨として、こうしたことに取り組むことの方に興味があるのだろう。