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黒川清 Kiyoshi Kurokawa 政策研究大学院大教授

08年秋、ノーベル物理学賞と化学賞を、日本で生まれ育った4人の科学者が受賞した。
米国籍の南部陽一郎氏を含め、自然科学分野で日本出身の受賞者はこれで13人。しかし、研究拠点を考えると、東大で研究した自然科学分野の受賞者は小柴昌俊氏しかいない。東大出身のノーベル賞科学者には、南部氏と江崎玲於奈氏もいるが、南部氏は大阪市立大、米プリンストン高等研究所、シカゴ大などで研究。江崎氏は民間企業で研究者としての道を歩んだ。
伊東乾氏が『日本にノーベル賞が来る理由』(朝日新書)でも述べているように、「専門的に高い業績さえ上げればノーベル賞が来る」わけではなく、国際政治や世界状況が反映する。しかし、当然ながら世界的なレベルの研究成果がなければ、可能性はない。
日本の最高学府と自他共に認め、歴史的な背景もあり、多額の研究教育基盤的な資金を国から受けてきた東大の受賞者がなぜ少ないのか。東大出身ながら、途中、日本を飛び出し、米国で医学、医師のキャリアを積み内科教授になった後、帰国して東大の教授になった筆者の経験をもとに考えてみたい。
(次頁に続く)
1936年東京生まれ。
東大医学部卒。同助手時代の69年に渡米。ペンシルベニア大助手などを経て、79年からカリフォルニア大ロサンゼルス校(UCLA)教授。83年に帰国し、東大医学部助教授、同教授、東海大医学部長、日本学術会議会長、内閣特別顧問などを歴任。現在、東大名誉教授で政策研究大学院大教授、日本医療政策機構代表理事。