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キャロル・グラック Carol Gluck 米コロンビア大教授

歴史について語られることが多くなっている。バラク・オバマが勝利した米大統領選挙は「歴史的」と表現される。いまの経済危機を「未曽有(み・ぞ・う)」とみなす人がおり、世界大恐慌を歴史的な類似とし、そこに現在の対策の糧を見いだそうとする人もいる。たいていの人は重要で大がかりな変化が、世界経済の直面する「歴史的」な挑戦に立ち向かうために必要だと考えているようだ。しかし「歴史」が実際にどのように作動するのかを誰が知っているだろう。
一つだけ明確なことがある。歴史は論じられるだけで実際に起こるというものではないのだ。オバマの勝利は、新しい大統領がワシントンに来るたびに大変化を想像する癖のある米国人の間でも、期待を尋常ならざる非現実的なレベルにまで高めた。実証済みの歴史的パターンでは、勝った側に投票した人はすべてが一度に変わることを願い、それ故に失望は避けがたいものとなる。政権政党が変わると、政策とレトリックに変化をもたらすが、その変化の度合いは歴史それ自体の重さによって規定されるのだ。
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キャロル・グラック
1962年ウェルズリー大学卒業。77年コロンビア大学で博士号取得。75年から同大学で教鞭(きょう・べん)をとり、現在、ジョージ・サンソム歴史学講座教授。『歴史で考える』(岩波書店)など著書多数。米大統領選ではオバマ氏の対日政策顧問に名を連ねた。