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世界と日本を考える

[第3回] ダボス会議からの報告

ここは世界のアジェンダ設定の「闘技場」だ。ソフトパワーとは物語の力である

船橋洋一 Yoichi Funabashi 朝日新聞社主筆

ジャック・アタリ氏=エルザ・カディエ氏撮影
船橋洋一

会場のコングレスセンターのロビーで、パネルの合間に旧知の人々とかわす立ち話は、どのパネルの誰の発言がおもしろかったかの品評会と相なる。
今年のスターは、投資家のジョージ・ソロスとニューヨーク大学教授の経済学者ヌリエル・ルビーニ。ソロスは住宅バブルとそれを生み出した米国の超緩和金融政策の危険を、ルビーニは、住宅バブルの破裂、金融機関の破綻、さらには「災害的な規模の金融・経済危機」に、数年前から警告を発してきた。英「プロスペクト」誌(1月号)はルビーニを「世界でもっとも影響力のある識者」の2位に挙げた。2人とも「危機はまだ始まったばかり」とのご託宣だ。「いつ底を打つかなどを云々(うんぬん)するより、なぜ、こうなったのかの分析と認識をきちんとするのが先決」(ルビーニ)と手厳しい。
「国家の市場に対する過剰介入が進む恐れがある。そうならないように注意すべきだ。ソ連時代の間違いを繰り返してはならない」
そう喝破したのは誰あろうプーチンロシア首相である。ビル・クリントン元米大統領は「お言葉通りにやってロシアがうまくいくように祈っています」とちょっと茶化(ちゃか)したが、グローバリゼーションのメッカ、ダボス会議の知的雰囲気がかくも内省的な性格を帯びたことはこれまでなかった。(次ページに続く)

略歴

ふなばし・よういち
1944年北京生まれ。東大卒業後、68年に朝日新聞入社。熊本支局、北京特派員、経済部次長、アメリカ総局長、特別編集委員、コラムニストなどを経て2007年から主筆。 著書に『内部-ある中国報告』『通貨烈烈』『同盟漂流』『ザ・ペニンシュラ・クエスチョン』『冷戦後-失われた時代』など。

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