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広告への反応データが詳細に取れることから、販売形態も変わってきている。従来のマスメディアであれば、どれだけの人が見たか、つまり視聴率や部数といった広告露出度に対して広告料金を支払っていたが、ネットではその露出からどれぐらいのクリックがあるか、あるいはEメールの登録がどれぐらいあるか、で料金が決まる。クリック当たりの単価、Eメール獲得当たりの単価などを設定するのだ。これらの料金体系によって広告主は自らの広告投資リスクを低くすることが可能になっている。
ケーブルTVが普及するアメリカでは、このインターネットと同様のことがリビングルームのTVでも起こり始めている。Addressable TVCMと呼ばれる、ターゲティング型のCMが一部地域で導入されているのだ。

例えば二つの世帯がケーブルTVチャンネルやビデオオンデマンドで同じTV番組を見ていても、各世帯に流すCMを変えることができる。年齢や人種、世帯収入、住んでいる地域など、契約者の属性をもとに、その属性にあった別の商品のCMに差し替えたり、同じ商品のCMでも視聴者に近い属性をもった俳優が出てくるようにしたりもできる。
さらに、一部の広告メニューでは、興味のある商品について、ケーブルTVのリモコン操作で追加情報を得られたり、映像での商品説明を見られたりするほか、資料請求や購買も可能だ。今後、ネットと同様に、多岐にわたる広告料金体系が導入されていくと考えられる。
昔はリビングで家族や友達と一緒に見ていたTVも、今では個々の家や自室で見ながら、その内容についてインターネット上でチャット(おしゃべり)するのが一般的になってきた。
アメリカのTV局CBSは自社のウェブサイト内に、Social Viewing Room Loungeというページを設けている(画像右上)。同じTV番組を見ている人たちが、視聴中の番組についての意見や情報などを共有できる仕組みで、パソコン向けのTV番組配信用ソフト(オンラインビデオプレーヤー)にも同様のチャットページが組み込まれている。
これはインターネットでの試みだが、最新の薄型TVのほとんどはネット接続に対応しており、そこでもソーシャル視聴をするためのサービスが提供されることになるだろう。
属性データからパーソナル化したメディアをつくることは、決してネットだけのものではない。
雑誌社の Time Inc.と American Express Publishingは、読者の登録したデータから、個々の読者にふさわしい記事を、Time、 InStyle、Money、SportsIllustratedなど八つの雑誌の中から選び、パーソナル化して再編集した現物の雑誌として読者に提供する「Mine」を発行している

中に入る広告も、その読者の名前を入れて語りかけるようなものにするなど、パーソナル化をさらに推し進めている。リアルの雑誌といえども、印刷技術の進化とデジタル化によりパーソナル化が可能になっているという事例だ。
プライバシーの問題など幾つかのハードルはあるものの、少なくともアメリカでは、マスメディアが、今までネットでしか使えなかった特性を、自らの広告モデルなどに取り込みつつある。
生き残りのためには、新しいビジネスモデルを確立しなければならない。マスメディア業界では、「『アナログ=ドル』から『デジタル=セント』」と言われ、デジタル化することは収益を大きく減らすものと見られてきた。だが、そうは言ってはいられない現状が目の前にやってきているということだろう。