RSS

見出しを読み解く

[第132回]"Throw back this throwback: Retire the Cleveland Indians Chief Wahoo logo" 先祖返りは投げ返そう:「ワフー酋長」への引退勧告

(10月27日付、ニューヨーク・デイリーニューズ紙)

ロッシェル・カップ



今年のワールドシリーズで「ワフー酋長」の絵をかかげるインディアンスのファン=Reuters

この見出しは、2つの似た表現を使ったところに遊び心が垣間見える。テーマにちなみ野球の投球を連想させる動詞のThrow back(投げ返す)と名詞のthrowback(過去の時代への後戻り)。記事は、米大リーグ球団クリーブランド・インディアンスが「ワフー酋長」というシンボルマークを使っていることをthrowbackだと言及している。「ワフー酋長」はアメリカ先住民を戯画化したもので、真っ赤な肌、大きな歯、そして頭に付けられた羽根が特徴だ。記事の筆者である論説委員は、これをとてもcrass(粗野な)描写であると述べている。


アメリカのスポーツでは、先住民にあやかったチーム名、シンボルマーク、マスコットが少なくない。しかし1960年代以降、先住民に対するoffensive(侮辱的)かつ好ましくない固定観念を助長する恐れが指摘され、先住民からも反対の声があがった。その結果、利用するチームはどんどん減ったが、使い続けるところが一定数あるのも事実だ。


この論説委員は、スポーツにおける先住民のiconography(図像)に対するblanket prohibition(全面的な禁止)を推進しているわけではない。アトランタ・ブレーブスなど問題ないと思われるスポーツチームの例を幾つかあげている。問題視しているのは次の2つだ。インディアンスの「ワフー酋長」と米プロアメフットチームのワシントン・レッドスキンズの名前。後者はあまりにもracial slur(人種的中傷)なので、記事ではチーム名をあえて表記していない。このチーム名のportrayals(描写)は、アメリカ先住民の勇気や強さに対するdignified(気品のある)celebration(称賛)ではなく、belittling(軽視)だと受け取れるそうだ。


この記事が掲載された日、インディアンスは1948年以来となる栄冠をかけたワールドシリーズの真っ最中だった(結局、もっと長く優勝から遠ざかっていたシカゴ・カブスが勝利した)。インディアンスのシンボルマークは、かつてsocially acceptable(社会的に受け入れられた)かも知れないが、1948年あたりが最後だったのではないか。記事で論説委員はそう指摘している。


10月27日付、ニューヨーク・デイリーニューズ紙より



Rochelle Kopp

人事管理と異文化理解が専門のコンサルタント。シカゴ大経営大学院修了。日本語が堪能。本コラムに加筆した『見出しとリードで読み解く英語ニュース』(語研)など著書多数。





この記事をすすめる 編集部へのご意見ご感想

  
ソーシャルブックマーク
このエントリーをはてなブックマークに追加

Popular article | 人気記事

さらに記事を見る
Facabookでのコメント

朝日新聞ご購読のお申し込みはこちら

Information | 履歴・総合ガイド・購読のお申込み

Editor's Note | 編集長から

PC版表示 | スマホ版表示