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[第12回] ‘Tea Party fears ship has sailed’

(9月1日付 米Boston Heraldより)

ロッシェル・カップ

「ティーパーティー(TP)運動」は、政府の権限の拡大や増税に反対する米国の保守派による草の根の市民運動のこと。1773年の「ボストン茶会事件」が名前の由来だ。この事件では、宗主国イギリスの過酷な税(紅茶税)に憤慨した米国市民が蜂起し、港に停泊中の船に侵入し、積み荷の紅茶を海に投げ捨てたことで知られる。



2009年初頭に金融機関への公的資金の注入やオバマ大統領の大規模な景気刺激策に反対する市民の声から始まったTP運動は、医療保険制度改革への反対感情の波に乗って勢いを増し、全国的な市民運動に発展した。共和党の大統領候補たちは、保守派の一大勢力となった彼らの支持を得ようと躍起になっている。



見出しのship has sailedは、船がいったん出港したら客は乗れないことから、何かが「もう遅すぎる」ことを意味する。何が遅すぎるのだろうか。



TPのメンバーが特に好む政治家が元アラスカ州知事のサラ・ペイリン氏だ。08年大統領選の共和党候補だったマケイン氏に副大統領候補の指名を受けたときはまだ、アラスカ以外ではあまり知られていなかったが、Republican National Convention(共和党全国大会)のデビュー演説で注目を集めて以降、メディアの話題になり続けている。


魅力の一つは「アラスカ出身」を強調し、庶民的な表現を多用することだ。最近は自らをgrizzly mama(ハイイログマのお母さん)のようだと言っている。母グマが子グマを守るために後ろ脚で立って威嚇するように、子どもたちを脅かすような悪い政策には決然と戦う姿勢を表そうとしている。



ペイリン氏は09年に知事を辞めてからは、本を出版したりテレビ番組に出たりして活発に動いており、次の大統領候補として世論調査の支持率も高い。頻繁にスピーチしたり、early primary states(最初に予備選や党員集会が行われるアイオワ州やニューハンプシャー州など。その後の選挙戦を占う試金石となる)にも現れたりしている。



ただ、正式に大統領選への立候補表明をしない間に、ほかの共和党の候補者がTPのメンバーへの働きかけを強めており、ペイリン氏への関心は衰えているという見方もある。ニューハンプシャー州のあるTP組織者の発言によれば、彼女はすでにlost steamしたという。steamはエンジンを動かす蒸気で、失うとスピードが落ちるため、勢いがなくなるという意味だ。



ペイリン氏は長く待ち過ぎたためにチャンスを逃してしまったのか。つまり、「船は出てしまった」のだろうか?




Rochelle Kopp

人事管理と異文化理解が専門のコンサルタント。シカゴ大経営大学院卒。日本語に堪能。ビジネス英語を中心に著書多数。



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