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イタリアでは大晦日の夜に「あるモノ」を身につけると、福を呼ぶという言い伝えがある。それは「赤い下着」。「赤」は力、精神、健康、豊かさの象徴として、ローマ帝国の初代皇帝アウグストゥス時代から新年に身にまとう習慣があった。今でも、赤色が放つパワーが幸運を呼び寄せると信じられており、年末が近づくとランジェリー・ショップの店頭に鮮やかな下着が並ぶ。筆者の知人で70歳代の女性に聞いてみると、彼女が幼い頃から「赤は福を呼ぶ」という言い伝えはあったが、赤い下着が売られるようになったのは約30年前からだという。「その昔はスカーフでも靴下でも、赤ければ何でも良かったのよ」。
赤の下着にはもちろん男性用パンツもあって、最近はシースルー素材など、かなりセクシーなものも。クリスマス関連の柄や、動物を模したデザインなど、笑いを誘うデザインも登場している。男女用ともに、世界的な有名ブランドより、庶民的なブランド品が中心で10-30ユーロ(約1300-3900円)が相場だ。恋人や友達同士でジョークも込めてクリスマスに贈りあい、それを大晦日に身につけるというケースが多い。
11月末、イタリア商業連盟はクリスマス消費に関する調査結果を発表した。それによると人々が予定しているプレゼントは、1位-服飾70.5%、2位-書籍63.2%、3位-食品56.7%だ(複数回答)。オシャレ感度の高いイタリア人には「洋服の贈り物が一番嬉しい」と答える人も少なくない。
とはいえ、相手の好みを察するのは至難の業。気に入ってもらえずタンスの奥にしまわれてしまうのも癪な話だ。そうした点からも、多少の好みはあっても洋服の下に隠れてしまう下着は、クリスマスの人気プレゼント商品として定着している。子供から若者、お年寄りまでが赤い下着を身につけていると想像しただけで、「良い年がやってくる!」と思えてしまうイタリアの大晦日だ。
(大矢麻里=シエナ在住)
[2009.12.26]