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世界の食を訪ねて

宗教対立続くイスラエル 食を通じ感じられた希望

[第26回]マイケル・ブースの世界を食べる




ベツレヘムではケバブ一つを注文するだけでも緊張を強いられた。そうとは知らずに入ったアラブ料理のレストランで考えたこととは。



私は今、ケバブの列に並んでいる。それ自体はめずらしくないのに、私は気もそぞろ、作り手にさっさと電話を切って商品を渡すよう無言で急き立ててしまう。彼はようやく、あまりにもゆっくりと、そのチキンの薄切りをはさんだ平たいパンを手渡してくれた。私は脇のサラダバーでタマネギやトマト、サラダ、スプーンいっぱいの辛いソースを散らすと、それを再び店側に渡し、持ち帰り用に包んでもらってそそくさと外の車へとその場をあとにした。


この切迫感は何か? 私が今いるのは、古代イスラエルのダビデ王とイエス・キリスト生誕の地であり、現在では高さ8メートルの分離壁に囲まれた事実上の青空監獄、ベツレヘムなのだ。ベツレヘムはパレスチナ自治区で、イスラエル人はそこの住人が危険人物であると信じ、離れることを認めていない。検問所には武装警察が構えていて、大きな赤い字で「イスラエル国民の立ち入り禁止。命に危険を及ぼす上、違法」と書かれた看板が掲げられている(のちに私たちは、セミオートの小銃を持った血気盛んな門番に、そこから抜け出ることを禁じられた。つまり街の反対側にある別の検問所を目指すはめになったのだ)。



(次ページへ続く)

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