RSS

世界の食を訪ねて

復活!世界一のレストラン ノーマ2.0が見せる新境地

[第25回]マイケル・ブースの世界を食べる

さっそく行ってきました!


オープンした週のランチに席が確保できたのは幸運だった。ほぼ自力で地域の料理を再定義したレストランで食べるランチは、ただのランチではない。


スタートは巻き貝の出汁。貝は日本でも普段使いの食材だが、ここではフェロー諸島産のものだ。出汁は貝殻に注がれ、藻のピクルスが添えられる。この世のものとは思えないほど豊かな風味は、これまで口にした何とも違う。そこから、日本の影響があちこちに見えるようになる。生の魚介、火入れした昆布のソースで食べるイカ、カボチャの種で覆った殻ごと出されるフェロー産のウニ、手づかみで食べるタラのお頭の炭火焼き(アジアとは違って、ヨーロッパでは魚の頭は大抵捨てる)。ナマコの卵巣と皮は乾燥され、デニッシュクリームとともに誰かの内臓みたいにピクピク動くナマコとやってくる。デザートは「プランクトンケーキ」。プランクトンが食材になるとはゆめにも思わなかった。さすがにこれには戸惑った。おいしいかさえわからないが、トライできたのはよかった。


この料理は、季節に対するノーマの新しいアプローチを反映している。レゼピは一年を、魚介に力を入れる冬(スカンディナビア半島では10月から3月)、野菜をベースにする夏、そして地方のジビエを披露する秋に分けている。日本ほど細やかな手法ではないが、明らかに着想を得ている。


あのノーマが帰ってきたのだろうか? 世界一に4度も輝いたその高みに、再び到達したのか? レゼピはかつてのようにクリエーティブで、駆り立てられるように没頭している。自身とチームは、北欧の自然の恵みを開拓し始めたばかりだと信じている。料理は美しく、大胆で驚きに満ちている。そう、これなんです。


ドリンクなしで375ドルと安くはない。しかしノーマには従業員が90人いて、「アリ飼育園」から麹の発酵室、いけす、屋上農園など11棟も建物があり、どうしたって安くはならない。新しいテレビが買えるくらいの値段の食事がお得だと思えるなら、ぜひこちらに。


(訳・菴原みなと)



Michael Booth

英国・サセックス生まれ。ジャーナリスト。著書に『英国一家、日本を食べる』(書籍、コミックとも亜紀書房)、『英国一家、フランスを食べる』(飛鳥新社)、『限りなく完璧に近い人々―なぜ北欧の暮らしは世界一幸せなのか?』(KADOKAWA)など。3月末に『英国一家、日本をおかわり』(KADOKAWA)を出版。妻リスン、息子アスガーとエミルと共にデンマーク在住。

この記事をすすめる 編集部へのご意見ご感想

  
ソーシャルブックマーク
このエントリーをはてなブックマークに追加

Back number | バックナンバー

[第25回]マイケル・ブースの世界を食べる 復活!世界一のレストラン ノーマ2.0が見せる新境地

[第25回]マイケル・ブースの世界を食べる
復活!世界一のレストラン ノーマ2.0が見せる新境地

[第24回]マイケル・ブースの世界を食べる 何でもおいしくできる技 世界を救うのは日本食!?

[第24回]マイケル・ブースの世界を食べる
何でもおいしくできる技 世界を救うのは日本食!?

[第23回]マイケル・ブースの世界を食べる あの日の新宿から10年 英国一家、日本を愛す

[第23回]マイケル・ブースの世界を食べる
あの日の新宿から10年 英国一家、日本を愛す

[第22回]マイケル・ブースの世界を食べる 世界を驚かす次の日本食 グルメの希望的新春予想

[第22回]マイケル・ブースの世界を食べる
世界を驚かす次の日本食 グルメの希望的新春予想

[第21回]マイケル・ブースの世界を食べる 食いしん坊のクリスマス 食欲とともに夜は更ける

[第21回]マイケル・ブースの世界を食べる
食いしん坊のクリスマス 食欲とともに夜は更ける

[第20回]マイケル・ブースの世界を食べる 今日は言わせてもらいます 撲滅したいレストランの罪

[第20回]マイケル・ブースの世界を食べる
今日は言わせてもらいます 撲滅したいレストランの罪

Popular article | 人気記事

さらに記事を見る
Facabookでのコメント

朝日新聞ご購読のお申し込みはこちら

Information | 履歴・総合ガイド・購読のお申込み

Editor's Note | 編集長から

PC版表示 | スマホ版表示