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世界の食を訪ねて

世界を驚かす次の日本食 グルメの希望的新春予想

[第21回]マイケル・ブースの世界を食べる



予想というより願望!?


私がいまだに理解できないのは、もちがどうして万国共通のスイーツにならないのかだ。日本にいると、コンビニの冷蔵コーナーでどんなもちスイーツがあるか確かめずにはいられない(クリームが入ったフルーツ味のもちは、天にも昇るおいしさだ)。それにあの、もちに包まれたアイスクリーム! これ以上すばらしい食べ物があるだろうか?


もちと同じように、何年もインタビューやコラムで熱弁しているのが、お好み焼きのグローバルな可能性だ。パリやロンドン、日本人コミュニティーがあるアメリカの都市には、お好み焼き屋があるが、すしのようにメジャーになるにはまだ時間がかかりそうだ。しかし、私にはマクドナルド式のお好み焼きチェーン店が世界を制する姿が目に浮かぶ。何しろお好み焼きにはすべてがある。早くて安い。キャベツもいっぱい。体にいいものを食べている気になる。豚肉や魚介類でたんぱく質もばっちり。わずかなお金で、セメントを入れたバケツみたいにおなかがふくれる。


もちろん、お好み焼きといえばあのソース。2018年、「やみつき茶色ソース」系の日本食はどれもとてつもないポテンシャルを発揮するだろう。たこ焼き、串カツ、とんかつ、焼き鳥……。どれも大豆をベースに塩味、酸味、甘みと香味を絶妙のバランスで配合したソースやディップ、調味料が利いている。


そしてラーメン。読者諸兄の考えは承知している。ラーメンはもう世界中でおなじみだとお思いだろう。しかし、それはとんこつに限った話。日本以外では、ラーメンといえばとんこつだが、私のお気に入りリストのランクはずっと下の方だ。願わくは、魚介ベースのラーメンが早く流行しますように。魚介だしを少しでも混ぜたスープに勝るものはない。


日本酒はここ数年、世界で成功を収めてきた。国内で売り上げが落ち込むなか、輸出は急増している。しかし、日本食についての次回作を書くために調べていたところ、焼酎の驚くほど多様なおいしさを知った。ストレートならウォッカの代わりになるし、いろいろな飲み物と割ることもできて、可能性は計り知れない。東アジア以外ではほとんど知られていないが、ロンドンで最近、(そこまでおいしくはないが)焼酎をつくっているという地元の酒造家に出会った。ブームはすぐそこまで来ている。


日本酒、焼酎とくれば、日本の牛肉そして豚肉だ。日本人1人が食べる量は、牛肉より豚肉のほうが多いと知ったときは驚いた。そのわりに日本の豚肉はほとんど海外に出回っていない。世界が、甘くてうまみたっぷりの鹿児島産の黒豚を味わったら、そんな現状も変わるに違いない(特にイギリス人は、黒豚がかつてヴィクトリア女王から日本に贈られたバークシャー種の改良形と知ったら放っておかないだろう)。和牛のようにブランド化すれば、完璧だ!


もしここで挙げたおいしいものが2018年になっても食通の舌を唸らせることがないようなら……次はもちろん2019年がある。


(訳・菴原みなと)



Michael Booth

英国・サセックス生まれ。ジャーナリスト。著書に『英国一家、日本を食べる』(書籍、コミックとも亜紀書房)、『英国一家、フランスを食べる』(飛鳥新社)、『限りなく完璧に近い人々―なぜ北欧の暮らしは世界一幸せなのか?』(KADOKAWA)など。近著に『ありのままのアンデルセン』(晶文社)。妻リスン、息子アスガーとエミルと共にデンマーク在住。

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