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世界の食を訪ねて

食いしん坊のクリスマス 食欲とともに夜は更ける

[第20回]マイケル・ブースの世界を食べる

欲張りなのは承知のうえで


☆蒸し器 日本人はみんな食材の蒸し方を心得ていて、たいてい自宅に1台あるようだ。しかし私のレパートリーのなかで、蒸し物は大きな盲点だった。これまで一度もやったことがないのは恥ずかしい限りだ(切手をはがすときには蒸気をあてるが、食べ物にはやったことがない)。健康にいいのはよくわかっているのに。「今年こそ蒸す」。新年の抱負にもぴったり……ウィンウィンの関係だ。


☆タヒチ産バニラ お菓子を焼くときに後ろめたくなるほど濃厚でなめらかなタヒチ産バニラがあれば、もう何もいらない。たまらない香りとはじけんばかりにつまった実。値は張るが、その価値はある。


☆イタリア・アルバ産の白トリュフ 私は食べ物にそこまでつぎ込むつもりはないが、いただけるなら大歓迎です。


☆デキるアイスクリームマシン とても高価なマシンとそこそこ高価なマシン、もう2台も持っているが、一度も店で食べるジェラートのようなアイスは作れたことがない。だから仕事のデキるヤツがほしい。ダイハツの軽自動車くらい大きい、イタリアのカルピジャーニ社製マシンのような。それを置くスペースも。


☆焼き鳥グリルと和歌山産備長炭の使い放題権 これで自宅でも「玉ひも(キンカン)」が料理できる。ヨーロッパで見つけるのはまず無理だから、解決策はこれしかない。においまで焼き鳥屋にならないよう、超強力な換気扇も必須だ。


☆包丁研ぎ ガジェット的な手軽なものや合羽橋で買える類いの砥石なら持っているが使いこなせず、キッチンの引き出しで場所だけとっている。欲しいのは、私が料理する前に、いつも包丁を研いでくれて切れ味を確かめてくれるような人……。


☆エクアドルのカカオ農園とチョコレート製造機、プライベートジェットと滑走路 良質なチョコレートを愛するあまり、これはもうカカオ豆からチョコレートバーになるまでの一通りを自分で作ればいいのかもしれないと思う。エクアドルのカカオ豆は世界一といろんなところで言われている。なぜプライベートジェットか? エクアドルまで行くのは大変だ。私は飛行機の乗り継ぎが嫌い。いいチョコレートは高い。大量に食べてしまう。こちらの方がむしろ安くつくでしょう?


☆築地市場 場内市場が閉まってしまうことになった今、みなさんで私のために買い取ってもらえないだろうか。新鮮な二枚貝やイカやブリ、海から届けられるめくるめく奇跡の贈り物を、買いたいときにいつでも買えるように。はい。卸売業者と魚屋もお願いします。


☆一流懐石料理人の能力と経験 あれこれ言ったが結局は、この二つが欲しい。見てよし食べてよし、才気ほとばしり季節感あふれる、趣向を凝らした料理を際限なく作り出せるのだから。私の知っている日本料理人は、50年以上厨房に立ち続けているのに同じ料理は二度と作らない。もし彼の頭の中身をダウンロードできたなら……(やり方は神経科学者のような人に聞いてみるといいかもしれない)。


あるいは、こういうプレゼントが入るソックスという手もありか?


(訳・菴原みなと)



Michael Booth

英国・サセックス生まれ。ジャーナリスト。著書に『英国一家、日本を食べる』(書籍、コミックとも亜紀書房)、『英国一家、フランスを食べる』(飛鳥新社)、『限りなく完璧に近い人々―なぜ北欧の暮らしは世界一幸せなのか?』(KADOKAWA)など。近著に『ありのままのアンデルセン』(晶文社)。妻リスン、息子アスガーとエミルと共にデンマーク在住。

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