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世界の食を訪ねて

今日は言わせてもらいます 撲滅したいレストランの罪

[第19回]マイケル・ブースの世界を食べる

ああ……罪深きレストラン

 

第10位 うるさすぎること。食事相手が何を言っているか聞こえないような店には二度と行かない。最たるものがニューヨークのレストランだが、会話の中身がないニューヨーカーにとっては、別に聞こえなくてもいいらしい。


第9位 静かすぎること。世間にはある種の気取ったフレンチレストランが存在するが、彼らは自分たちを料理界の権威と見なしている節がある。そこで食事ができる栄誉を手にした人は、ささやくことしか許されないようだ。懐石料理の店も、この種の罪を犯すことがある。


第8位 バターなしのパン。イタリア人よ、大好きだけど、ふざけないで。 第7位 画集並みに分厚いワインリスト。試験でもあるまいし。私はおいしく気軽に飲める1杯のコート・デュ・ローヌ(仏産赤ワイン)が欲しいだけ。


第6位 皿以外のもので料理を出すこと。日本ではまだあまり見かけないが、ヨーロッパやアメリカでは石板、木片、小さなバケツなどに盛りつけるのがトレンドで、韓国ではミニチュアの便器まで見かけた。笑えるのはせいぜい2秒で、たちまち不愉快になる。たいてい散らかるし、ウェーターの仕事を厄介にするだけだ。


第5位 チップ。外国人が日本に来て感動するのは、チップがいらないことだろう。特にアメリカでは、私のような算数にも苦労している人間には、とてつもなくストレスだから。


第4位 料理の説明をするときに、ウェーターが手を皿に近づけすぎること。その指を私の料理から離しなさい!


第3位 化粧室に行っている間にウェーターが私のナプキンをたたむこと。行き先がトイレだと知っているのに、大げさなことはしなくていい。 


第2位 量が少なすぎる、もしくは多すぎること。北欧のニュー・ノルディックやフランスのヌーベル・キュイジーヌといった料理はその少なさで知られるが、おいしい料理はひと口と言わず、バケツ一杯食べたい! 逆に特大の器で出てくるラーメンはいつも完食できない……。どちらも悲劇。


第1位 何よりすべてのウェーターが犯しうる最悪の罪、どんな食事も間違いなくぶち壊しにするのが、料理を私の前に置くときに必ず添えられるあのささやき。「エンジョイ」。楽しむと決めるのはあくまでも自分。もし他人に言われようものなら、全力で楽しまないことにする。


どうだ思い知ったか。


(訳・菴原みなと)



Michael Booth

英国・サセックス生まれ。ジャーナリスト。著書に『英国一家、日本を食べる』(書籍、コミックとも亜紀書房)、『英国一家、フランスを食べる』(飛鳥新社)など。近著に、『限りなく完璧に近い人々―なぜ北欧の暮らしは世界一幸せなのか?』(KADOKAWA)など。近著に『ありのままのアンデルセン』(晶文社)。妻リスン、息子アスガーとエミルと共にデンマーク在住。

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