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世界の食を訪ねて

好きなのにサヨナラなんて 名付けて「嫌チョコ」大作戦

[第19回]マイケル・ブースの世界を食べる

チョコの代わりになるもの


 悲しいかな、そんな代用品は存在しない。イタリアのピエモンテ州を訪れるまでは、そう思っていた。アルプスのふもと、フランスとの国境沿いにある州で、欧州きっての美食エリアの一つだ。高価で希少な白トリュフやカルナローリ米などリゾット用のコメ、バローロやバルバレスコといった頭にガツンとくる重厚な赤ワインが有名だ。少なくともイタリアでは「ノッチョーラ・デル・ピエモンテ」、つまりピエモンテ産ヘーゼルナッツでも知られている。


 それはただのナッツではない。ビー玉くらいの大きさで抜群のカリカリ感、甘みが強く、ナッツの風味に余韻がある。そのまま食べてもいいが、焙煎(ばいせん)してチョコとともにペーストにした「ジャンドゥーヤ」もおなじみだ。びんに入ったジャンドゥーヤに思いをはせながら、麗しのトリュフの街、アルバの大通り沿いの露店でヘーゼルナッツの試食を繰り返すうちに、はたと気づいた。これこそ私のチョコ問題に対する解決策ではないか。これまで食べてきたナッツの中で一番おいしい。10袋買うことにした(200グラムで8ユーロとなかなか高いが、健康はそれ以上の価値があるでしょう?)。


 私の「嫌チョコ」大作戦が有効なのはみなさんにも朗報だろう。午前中のうちに封を開けていた「スーパーミルク」の代わりに、今はナッツの真空パックに手を伸ばしている。甘くておいしいものに対する欲は、すっかり満たされたようだ。


 よかったじゃないか、と思われるかもしれない。糖分過多の加工食品を自然食品に取り換えたのだから。しかし、1カ月にわたる(高額な)ヘーゼルナッツダイエットを経てもなお、体重はほとんど減っていない。


 この原稿を書きながらヘーゼルナッツの健康効果について調べているが、軒並み評価が高い。しかし、何の気なしにカロリーを比べようとグーグルで検索したら、ヘーゼルナッツ100グラムで62キロカロリーにものぼるとわかった。同じ量のミルクチョコレートは、525キロカロリーとある。


 これではまた振り出しか。いや、待てよ。それなら白トリュフはどうか……。どなたか100グラムあたりのカロリーをご存じありませんか?


(訳・菴原みなと)



Michael Booth

英国・サセックス生まれ。ジャーナリスト。著書に『英国一家、日本を食べる』(書籍、コミックとも亜紀書房)、『英国一家、フランスを食べる』(飛鳥新社)など。近著に、『限りなく完璧に近い人々―なぜ北欧の暮らしは世界一幸せなのか?』(KADOKAWA)など。近著に『ありのままのアンデルセン』(晶文社)。妻リスン、息子アスガーとエミルと共にデンマーク在住。

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