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世界の食を訪ねて

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カンボジア人が大好きな麺料理、日本人には衝撃の味だった!

もりぞおの『サムライカレー、世界を喰らう!』[第43回]



カンボジアのイオンを案内していると、多くの人が驚くモノが売っています。

――虫です。

(※お嫌いな人は凝視しないようにしてください)



コオロギやら、何かのサナギやらの佃煮が山になっているのは、プノンペンイオン名物。

その辺の屋台では、タランチュラやタガメの佃煮も売っています。


これら、虫の佃煮は日本でも普通に売っていますし、実際に食べてみると多くの日本人が「結構美味しい」と言って、お土産に買って帰る人もいるレベルです。

しかし、そんなレベルではない食べ物も存在します。


カンボジア名物の混ぜそば。

カンボジア人は「ボンラホン」 と呼んでいました

カンボジア人が並んで買い求めるくらいの人気商品です。


写真で見ると美味しそうに見えるのですが、実物を目の前にすると「これは無理」と思ってしまいます。


まず、臭い。

酸っぱさと、腐臭とが入り混ざったような、非常に不快な匂いがします。

そして、味。

この匂いそのままの不快な味が、口いっぱいに拡がり、そこから小一時間食欲が失われます。


なぜんこんなことになっているのか?作り方をみてみましょう!



まずは、新鮮な野菜やライムを用意します。

そして、カンボジア秘伝ソースも用意します。


そして、大量のショウガ、お湯でふやかしたインスタントラーメンを用意して、冒頭の写真にあるように、すり鉢でかき混ぜます!



それほどまずくなる要素はないのですが、秘伝のソースとショウガとライムの匂いが微妙に交わり合って、日本人にとっては臭くて、不快な香りになってしまうのです。


臭くて、不快。

この感想、どこかで聞いたことがあるな・・・。

それは、カンボジア人が日本風のカレーをはじめて食べたときの感想です。


カンボジア人にとって、スパイスの匂いは不快。

スパイスの匂いが強いインドカレーは日本カレーよりさらに不快で、店の前を通るのもイヤと言うレベルです。



日本人(やインド人)にとってはかぐわしい香りなのに、カンボジア人に取っては不快な香りという感覚がよく分からないと言う人は、ぜひこの麺を食べて欲しいのです。


ちなみに、この麺の店にはカンボジア人が列をなしており、みんな美味しそうに食べています。


自分が美味しいと思うモノが、他人が美味しいと思うとは限らない


この連載でも再三再四言っていることですが、人が美味しいと言っているモノを食べて、自分が美味しくないと思うという体験をすると、これが身にしみてわかるようになります。


ただ、日本人が永久にこれを食べられないかというとそうでもありません。

例えば、納豆やくさやを最初に食べたときに美味しいと思う人は少ないはずです。それが慣れてくるとだんだん好きになってきます。


アジア料理に頻出するパクチー(香草)も多くの日本人に取って不快な匂いと味がします。これも、それなりの人数の人が食べ続けているとだんだん慣れてきます。


これと同様に、タイの某日本式カレーチェーン店も、出店当初はかなり苦戦していたそうです。タイ人にとっても、日本のカレーは(タイ)カレーと似て非なるモノ。なかなか受け入れてくれません。


しかし、地道にプロモーションを続けて、2017年の今では、高級なお洒落レストランになっています。


海外で外国人モノを売るためには方法が2つあります。

徹底的に現地の人が好きなものをリサーチして、それに近づけていく方法。

徹底的に今のモノを現地の人にプロモーションしていって、好きになってもらう方法。

どちらも困難なのですが、ぜひ後者を目指す人は、カンボジアのこの麺を食べて、その困難さを実感して欲しいともいます。

それくらい、衝撃的なのです。これ。


(次号に続く)



【筆者紹介】


森山たつを


早稲田大学理工学部、日本オラクル、日産自動車、ビジネスクラスで世界一周旅行などを経て、日本人が海外で働く方法を研究する「海外就職研究家」となる。


海外就職に関する書籍、記事などを執筆する傍ら、日本人が苦手としている「外国人とのコミュニケーション」「失敗前提でのチャレンジ」「リアルなビジネス」を体験する研修プログラム「サムライカレープロジェクト」を運営。カンボジア・プノンペンにあるカレー屋を使っての研修プログラムは、既に120人以上の卒業生を輩出している。


主な著書に「セカ就!世界で就職するという選択肢」(朝日出版)、「普通のサラリーマンのためのグローバル転職ガイド」(東洋経済新報社)などがある。


連載:もりぞおの『サムライカレー、世界を喰らう』

第1回:カンボジアでカレー屋を作ったら、カンボジア人がカレーが嫌いだということがわかりました

第2回:カンボジア人に「カレーを美味しくしてくれ」と頼んだら、彼女は練乳に手を伸ばした

第3回:カンボジア人が好きなカレーを作るために、カンボジア人の家に突入してみた

第4回:「当店の『たこやき』はイカを使用しております」―カンボジア水産事情

第5回:飲食店泣かせのカンボジア、物価は安いが、原価は高い」

第6回:1日10時間野外労働、時給は115円――カンボジアの屋台店主は生活できるのか?

第7回:アクエリアスは炭酸入り、スプライトは3倍甘い。そして、サムライドリンク!――カンボジア飲料事情

第8回:カンボジア人にモチは売れるのか?スイーツ突撃実態調査!

第9回:シーフードヌードルは、フィリピン人のおふくろの味?

第10回:マニュアル人間は希少人材!?創意工夫が店を滅ぼす!

第11回:世界最大のラーメンチェーン店は、熊本発のとんこつラーメンです

第12回:プノンペンのイオンモールで大人気なのは、回転しゃぶしゃぶ屋です

第13回:アジアの新興都市プノンペンで繰り広げられるチキンレース

第14回:インド人はナンを食べない!?―インドカレー事情

第15回:「草食系」の南インドではカレーも葉っぱにのってくる

第16回:「ファストフードが1時間半待ち!北京オリンピック会場食料事情」

第17回:ブラジルのファーストフード「YAKISOBA」は日系移民の歴史の足跡

第18回:「派手なのがお好き? カラフル過ぎるカンボジア色彩事情」

第19回:「カンボジアでマーケティング調査!プノンペンでわたあめは売れるのか?」

第20回:「カンボジアでわたあめ100本売る方法―モノを売るな、体験を売れ!」

第21回:「50円はOKでも75円はNG? プノンペンから揚げマーケティング講座」

第22回:「ご飯の国の人だから。おにぎりを買ってくれないカンボジア人」

第23回:「500円の食事は月に1度のごちそう!カンボジアの「ランチ相場」

第24回:「意外にエコ?フィリピン驚きの皿洗い事情」

第25回:「ウニは貧乏人の食べ物!? 世界じゃこれは、ゲテモノ料理!?」

第26回:「中華料理屋は世界のオアシスである。異論は認める」

第27回:「出張、サムライカレー!カンボジアのカレーを日本人に受けるようにカスタマイズしてみた!」

第28回:「カンボジアのカレーは福岡のサッカースタジアムで売れなかった! 顧客志向の大切さを改めて考える」

第29回:参入障壁の低さは過当競争を招く 激烈!カンボジアレストラン事情

第30回:東南アジアで食器を消毒する方法

第31回:あなたの訪れたインド料理屋の店員もネパール人かも

第32回:極私的 一番刺激的で、一番不味かった国、キューバ。

第33回:アジアの空港ラウンジに見る、「おもてなし」事情

第34回:ベトナム人に有名な日本人「ドレーモン」

第35回:年に3回お正月があるカンボジア。正月料理は、カレー?

第36回:極彩色が好きだけど、彩りは不要? カンボジア人の野菜の好み

第37回: 路上で豚の丸焼き、生バンドコンサート! カンボジアの結婚式は派手なんです!

第38回:カンボジアでも大人気? LINEのクマは神出鬼没

第39回:激烈! プノンペンコーヒー戦争!

第40回:時代はCafeもAmazon? 続・プノンペンコーヒ戦争!

第41回:カンボジアのバレンタインの主役は、クマ! チョコレートはどこへいった?

第42回:カンボジア人に寿司を売れ! 言葉を使わないコミュニケーションで好みを探れ!

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