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世界の食を訪ねて

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路上で豚の丸焼き、生バンドコンサート! カンボジアの結婚式は派手なんです!

もりぞおの『サムライカレー、世界を喰らう!』[第37回]

路上で繰り広げられる結婚式!

1月から3月にかけては、カンボジアでは一番涼しい季節です。最高気温は30度を超えますが、最低気温は20度少々まで下がります。雨もほとんど降らず、東京の初夏の気候に近い感じ。日差しは東京よりも強いですが、エアコンの排熱などが少ないため、非常に過ごしやすい季節です。


そんな季節に増えるのが、結婚式。

ですがこの結婚式、交通渋滞を引き起こす原因にもなり、なかなかやっかいです。



道路のど真ん中に、いきなり現れる巨大なテント。

これが、カンボジアの一般的な結婚式のスタイルです。


そこそこ広い道路でも完全に封鎖してしまうこのテントにより、周囲の交通は遮断されます。

さらに、このテントの脇にある店などは、入り口が完全封鎖されて営業になりません。

そして、このような結婚式は多くの場合、無許可で、突然準備が始まるのです。


そんな恐怖の結婚式。

しかし、カンボジアの人たちはあまり気にせず、楽しんでいます。

しかも、結婚式は3日くらい続く場合もあります。

そんなめでたく、長い式で出される料理はどうなっているのか? 

実は、路上で作られています。



とある結婚式の会場裏。巨大な釜。


いったい、なにをしているのかと思うと、結婚式に出す料理の準備。そして、その料理とは、豚の丸焼き。

なんというか、もう、見事というしかありません。


逆サイドの入り口の方を見てみると、派手!


すばらしくゴテゴテとした飾り付けで目がくらみます。カンボジア人の本領発揮です。



さらに別サイドを見てみると……なんか、舞台の上に、ドラムセットまでありますが……。



これは、生バンドが演奏するのでしょうか? 路上なんですけどね、ここ。


というわけで、数時間後。

すっかり日が沈んだ、結婚式の開始後に再度訪れてみることにしました。


ふだんは、寝間着のような服装で街を歩いているカンボジアの人たちですが、式の時は気合を入れ、すてきな衣装を身にまとってやってきます。


そして、主役の新郎新婦はよりいっそうすばらしい衣装でお出迎え。来賓たちはその姿を楽しそうにスマホで写真に撮っています。


その頃ステージでは……プロのバンドが生演奏をしています。


日本では「除夜の鐘の音がうるさい」とクレームが入るなんてニュースがあったと聞きましたが、カンボジアでは夜間に生バンドが全力で路上演奏しても、誰も文句をいいません。



「めでたいことだから、いいじゃん!」というおおらかな気持ちが、この国の心の豊かさを表しています。まあ、そもそも、「騒音が周囲に迷惑」いう概念自体が希薄なので、夜中だろうと早朝だろうと、全力で工事とかもしてしまうんですが。


そんなこんなで、宴は夜遅くまで続き、そして、夜が明けます。


翌日、祭りのあとを見に行ってみると、そこではおばちゃんが後片付けをしていました。


こうやって、残飯の処理から食器洗いまで、全部路上。

「食品衛生的に大丈夫なのか」と思ってしまう私は、まだまだ日本人。カンボジアの人にとっては、「そこに愛があれば、騒音も衛生も関係ない」のです。


そんな、ひたすらおおらかすぎる、カンボジアの結婚式でした。



(次号に続く)



【筆者紹介】


森山たつを


早稲田大学理工学部、日本オラクル、日産自動車、ビジネスクラスで世界一周旅行などを経て、日本人が海外で働く方法を研究する「海外就職研究家」となる。


海外就職に関する書籍、記事などを執筆する傍ら、日本人が苦手としている「外国人とのコミュニケーション」「失敗前提でのチャレンジ」「リアルなビジネス」を体験する研修プログラム「サムライカレープロジェクト」(http://samuraicurry.com)を運営。カンボジア・プノンペンにあるカレー屋を使っての研修プログラムは、既に120人以上の卒業生を輩出している。


主な著書に「セカ就!世界で就職するという選択肢」(朝日出版)、「普通のサラリーマンのためのグローバル転職ガイド」(東洋経済新報社)などがある。


連載:もりぞおの『サムライカレー、世界を喰らう』

第1回:カンボジアでカレー屋を作ったら、カンボジア人がカレーが嫌いだということがわかりました

第2回:カンボジア人に「カレーを美味しくしてくれ」と頼んだら、彼女は練乳に手を伸ばした

第3回:カンボジア人が好きなカレーを作るために、カンボジア人の家に突入してみた

第4回:「当店の『たこやき』はイカを使用しております」―カンボジア水産事情

第5回:飲食店泣かせのカンボジア、物価は安いが、原価は高い」

第6回:1日10時間野外労働、時給は115円――カンボジアの屋台店主は生活できるのか?

第7回:アクエリアスは炭酸入り、スプライトは3倍甘い。そして、サムライドリンク!――カンボジア飲料事情

第8回:カンボジア人にモチは売れるのか?スイーツ突撃実態調査!

第9回:シーフードヌードルは、フィリピン人のおふくろの味?

第10回:マニュアル人間は希少人材!?創意工夫が店を滅ぼす!

第11回:世界最大のラーメンチェーン店は、熊本発のとんこつラーメンです

第12回:プノンペンのイオンモールで大人気なのは、回転しゃぶしゃぶ屋です

第13回:アジアの新興都市プノンペンで繰り広げられるチキンレース

第14回:インド人はナンを食べない!?―インドカレー事情

第15回:「草食系」の南インドではカレーも葉っぱにのってくる

第16回:「ファストフードが1時間半待ち!北京オリンピック会場食料事情」

第17回:ブラジルのファーストフード「YAKISOBA」は日系移民の歴史の足跡

第18回:「派手なのがお好き? カラフル過ぎるカンボジア色彩事情」

第19回:「カンボジアでマーケティング調査!プノンペンでわたあめは売れるのか?」

第20回:「カンボジアでわたあめ100本売る方法―モノを売るな、体験を売れ!」

第21回:「50円はOKでも75円はNG? プノンペンから揚げマーケティング講座」

第22回:「ご飯の国の人だから。おにぎりを買ってくれないカンボジア人」

第23回:「500円の食事は月に1度のごちそう!カンボジアの「ランチ相場」

第24回:「意外にエコ?フィリピン驚きの皿洗い事情」

第25回:「ウニは貧乏人の食べ物!? 世界じゃこれは、ゲテモノ料理!?」

第26回:「中華料理屋は世界のオアシスである。異論は認める」

第27回:「出張、サムライカレー!カンボジアのカレーを日本人に受けるようにカスタマイズしてみた!」

第28回:「カンボジアのカレーは福岡のサッカースタジアムで売れなかった! 顧客志向の大切さを改めて考える」

第29回:参入障壁の低さは過当競争を招く 激烈!カンボジアレストラン事情

第30回:東南アジアで食器を消毒する方法

第31回:あなたの訪れたインド料理屋の店員もネパール人かも

第32回:極私的 一番刺激的で、一番不味かった国、キューバ。

第33回:アジアの空港ラウンジに見る、「おもてなし」事情

第34回:ベトナム人に有名な日本人「ドレーモン」

第35回:年に3回お正月があるカンボジア。正月料理は、カレー?

第36回:極彩色が好きだけど、彩りは不要? カンボジア人の野菜の好み


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