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世界の食を訪ねて

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極彩色が好きだけど、彩りは不要? カンボジア人の野菜の好み

もりぞおの『サムライカレー、世界を喰らう!』[第36回]



我々が運営している海外インターンシッププログラム「サムライカレープロジェクト」では、日本の若者に2週間から4週間、カンボジア・プノンペンでものを売る体験をしてもらっています。


ただ、HISなどの旅行会社が主催で行う短期プログラムでは、約1週間にぎゅっと詰め込んで、カンボジアでのマーケティングから販売までを体験してもらっています。


2017年の正月にも、このプログラムを開催しました。


「3日目にもう試食会があるのが、ヤバイと思いました」


とにかく時間が限られているので、動きは爆速になります。

はじめて来た街プノンペンで、カンボジアの人たちがどんなものを欲しがって、いくらくらい払ってくれるのかを調査しなくてはなりません。

「マーケティングの4P(Product=製品、Place=流通、Promotion=広告、宣伝、Price=価格)」という手法にならい、効率的に調査を行うのですが、うまくいかないこともたくさんあります。


「カンボジアの人たちは、派手な色が好きなようです」


以前の記事にも書きましたが (派手なのがお好き? カラフル過ぎるカンボジア色彩事情)


カンボジアの店には、日本で見られないレベルの極彩色の食品が並びます。



ケーキ、ドリンクだけでなく、すしまでもが原色や蛍光色に彩られているのです。

この派手な色は、カンボジアの人たちにものを売るための突破口になるかもしれない。

そう考えて、研修生が考案したのが、チキンとパプリカの串揚げです。

(トップ写真がそれ)


「屋台で売っているものは、肉が中心でした。肉を焼いたもの、揚げたものが大好きなようなので、まずはここは外せません。

そこに、我々のオリジナリティとして鮮やかなパプリカを加え、彩りをつけてみました。

さあ、この商品はカンボジアの人たちに気に入ってもらえるのか?

翌日カンボジアの会社で、カンボジア人20人くらいを相手に試食会を行いました。


肉、パプリカ、カンボジア芋(サツマイモのような味がします)を串に刺したものと、肉、カンボジア芋だけを刺したものの2種類を展開。

ソースも、カンボジア人が大好きなチリソースと、サムライカレーのお店で(主に外国人に)大人気の特製テリヤキソースを準備。

さあ、どの組み合わせが人気なんでしょう?


あっという間に売り切れる肉と芋。

それに引き替え、パプリカは敬遠されがちです。パプリカだけを串から外して残す人もでる始末……。

「これ、苦いから……。」


どうやら、カンボジアの人たちは、野菜の彩りはあまり気にしないようです。

実際、街で売っている料理も、白と茶色だけみたいなものが多いです。


とはいえ、カンボジア人が野菜嫌いかというとそうでもありません。では、野菜の食べ方を観察してみましょう。

とある焼き肉屋での、野菜炒めの作り方。

いろいろな野菜と、巨大なバターの塊を用意します。

バターで炒めて……というよりも、バターの池に浸します。

カンボジア風「溶かしバターの野菜添え」の完成です。

カンボジア料理は野菜をよく使うのですが、こうやって炒める場合が多いです。そして、炒める際には、ばかげた量のバターや油を使います。できたての時はいいのですが、時間が経つと油まみれでぎとぎとになります。

「この内容を踏まえて、販売するのは、肉と芋の串揚げとチャーハンにしました」


結局、販売はそこそこ好調。

肉&芋串はめでたく完売。チャーハンも8割ぐらい売れました。

なんの経験もない大学生でも、しっかりリサーチすれば結果はついてくるんです!

リサーチすることは大切。でも、リサーチして建てた仮説が正しいとは限らない。

だから、お客さんに直接アプローチして、仮説を検証しなくてはならない。そして、一番正しいのはお客さんからの反応なのだ。

こんなことを実践で学ぶため、サムライカレープロジェクトでは、日本の若者が日夜奮闘しております。



(次号に続く)



【筆者紹介】


森山たつを


早稲田大学理工学部、日本オラクル、日産自動車、ビジネスクラスで世界一周旅行などを経て、日本人が海外で働く方法を研究する「海外就職研究家」となる。


海外就職に関する書籍、記事などを執筆する傍ら、日本人が苦手としている「外国人とのコミュニケーション」「失敗前提でのチャレンジ」「リアルなビジネス」を体験する研修プログラム「サムライカレープロジェクト」(http://samuraicurry.com)を運営。カンボジア・プノンペンにあるカレー屋を使っての研修プログラムは、既に120人以上の卒業生を輩出している。


主な著書に「セカ就!世界で就職するという選択肢」(朝日出版)、「普通のサラリーマンのためのグローバル転職ガイド」(東洋経済新報社)などがある。


連載:もりぞおの『サムライカレー、世界を喰らう』

第1回:カンボジアでカレー屋を作ったら、カンボジア人がカレーが嫌いだということがわかりました

第2回:カンボジア人に「カレーを美味しくしてくれ」と頼んだら、彼女は練乳に手を伸ばした

第3回:カンボジア人が好きなカレーを作るために、カンボジア人の家に突入してみた

第4回:「当店の『たこやき』はイカを使用しております」―カンボジア水産事情

第5回:飲食店泣かせのカンボジア、物価は安いが、原価は高い」

第6回:1日10時間野外労働、時給は115円――カンボジアの屋台店主は生活できるのか?

第7回:アクエリアスは炭酸入り、スプライトは3倍甘い。そして、サムライドリンク!――カンボジア飲料事情

第8回:カンボジア人にモチは売れるのか?スイーツ突撃実態調査!

第9回:シーフードヌードルは、フィリピン人のおふくろの味?

第10回:マニュアル人間は希少人材!?創意工夫が店を滅ぼす!

第11回:世界最大のラーメンチェーン店は、熊本発のとんこつラーメンです

第12回:プノンペンのイオンモールで大人気なのは、回転しゃぶしゃぶ屋です

第13回:アジアの新興都市プノンペンで繰り広げられるチキンレース

第14回:インド人はナンを食べない!?―インドカレー事情

第15回:「草食系」の南インドではカレーも葉っぱにのってくる

第16回:「ファストフードが1時間半待ち!北京オリンピック会場食料事情」

第17回:ブラジルのファーストフード「YAKISOBA」は日系移民の歴史の足跡

第18回:「派手なのがお好き? カラフル過ぎるカンボジア色彩事情」

第19回:「カンボジアでマーケティング調査!プノンペンでわたあめは売れるのか?」

第20回:「カンボジアでわたあめ100本売る方法―モノを売るな、体験を売れ!」

第21回:「50円はOKでも75円はNG? プノンペンから揚げマーケティング講座」

第22回:「ご飯の国の人だから。おにぎりを買ってくれないカンボジア人」

第23回:「500円の食事は月に1度のごちそう!カンボジアの「ランチ相場」

第24回:「意外にエコ?フィリピン驚きの皿洗い事情」

第25回:「ウニは貧乏人の食べ物!? 世界じゃこれは、ゲテモノ料理!?」

第26回:「中華料理屋は世界のオアシスである。異論は認める」

第27回:「出張、サムライカレー!カンボジアのカレーを日本人に受けるようにカスタマイズしてみた!」

第28回:「カンボジアのカレーは福岡のサッカースタジアムで売れなかった! 顧客志向の大切さを改めて考える」

第29回:参入障壁の低さは過当競争を招く 激烈!カンボジアレストラン事情

第30回:東南アジアで食器を消毒する方法

第31回:あなたの訪れたインド料理屋の店員もネパール人かも

第32回:極私的 一番刺激的で、一番不味かった国、キューバ。

第33回:アジアの空港ラウンジに見る、「おもてなし」事情

第34回:ベトナム人に有名な日本人「ドレーモン」

第35回:年に3回お正月があるカンボジア。正月料理は、カレー?

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