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世界の食を訪ねて

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出張、サムライカレー!カンボジアのカレーを日本人に受けるようにカスタマイズしてみた!

もりぞおの『サムライカレー、世界を喰らう!』[第27回]



カンボジアのカレーを日本人好みにアレンジ


我々は普段カンボジアでカレー屋をやっているのですが、この度、福岡で1日カレーを売らせていただく機会をいただきました。それも、Jリーグアビスパ福岡のホームゲームの試合会場で。


これは、サムラカレープロジェクトを運営している会社(の兄弟会社)スパイスアップ・ジャパンがアビスパ福岡のスポンサーとなり、共催のプログラムを開始することが縁となって開催させていただいたものです。


これまで、サムライカレーでは、「日本のカレーをいかにしてカンボジア人好みにするか」をテーマに試行錯誤をしてきました。


これに対し、今回は「カンボジアのカレーをいかに日本人好みにするか」という、まったく逆の挑戦を行います。



まず、カンボジアのカレーの特徴を挙げてみます

・ココナッツオイルの味がメイン

・野菜がたくさん入っている

・スパイスの味が少ない(全く辛くないorチリの辛さ)

タイカレーからカレーペーストを除いたような味です。


多くのカンボジア料理屋では「アモック」という名前で、草を編んだ小さな容器に入って出てきます。



カンボジアカレーは、日本人が食べても美味しいといえば美味しいのですが、カレーとは別の食べ物です。以前、某カレーメーカーの方にお話しをうかがったときに、

「カンボジアのカレーはフレッシュなカレーですね。コクを楽しむ日本のカレーとは別の種類のモノです」

と言われており、カンボジア料理を食べにきたわけではない、サッカー観戦に来た人たちにだすと「コレジャナイ感」を出してしまうと思われます。


「自分たちが出したいと思うモノではなく、お客さんが欲しがるモノを出す」

というのが我々のモットー。日本人が喜ぶカンボジアカレーを作るために、カンボジア在住の日本人料理人の方に来てもらい、研修生と共に「新・カンボジアカレー」をつくることにしました。


「コクというのは、バランスなんです。

味には「基本5味」(甘味・旨味・苦味・塩味・酸味)ってのがあって、これらがバランスよく含まれていると、コクが感じられるのです。

だから、この5つの味がバランスよく含まれているモノを作っていきましょう。」

まず、カンボジアのカレーのメインの味はココナッツオイルです。


これがないとさすがにカンボジアのカレーではなくなってしまうので、まずはこれがベースです。これにいくつか野菜を入れ、炒めたニンニクやしょうがと共に煮込みます。

「日本の人がカレーだと思うのに一番手っ取り早いのは、カレールーを入れることですね。とにかくよくできていて、5味のバランスが取りやすい。ちょっと入れてみましょう」


と、いうわけで、カンボジアカレー(作り途中)の中に日本の業務用カレールーを入れて煮込むと……うまい!


ほのかなココナッツオイルの味もあり、カンボジア風の風味も感じます。

しかし、カレールーの味は、誰がなんと言おうと、日本人的には「カレー」です。


「もう、これでいいんじゃないですか?」

「そうですね。後は、さらにコクを出すためにちょっと調味料を加えればOKです」


そんなわけで、意外とあっさりと「カンボジア風日本カレー」の試作ができてしまいました。


ちなみに、カンボジア国内で日本のルーを使うと原価が高くなってしまい難しいのですが、今回料理をするのは福岡です。業務用のカレールーも安価で購入できます。


「でも、これでは、味はカンボジア風でも、見た目的にカンボジアだということがわからないのでは?」

「それで、これを使います」


出てきたのが、カンボジア名物生胡椒。

カンボジアでもおいしくいただいてます


日本では胡椒というと乾燥させて細かくしたものが胡椒ですが、カンボジアの市場では、乾燥させる前の胡椒が普通に売っています。しかも、安い。この新鮮な生胡椒を丸かじりすると、我々が知っている胡椒とはまた別の味がするのです。

そして、知らない人も多いかもしれませんが、カンボジアは胡椒の名産地で有名なのです。


「ベースのカンボジアカレーを、カレールーで日本風のコクのある味にして、カンボジア産生胡椒を付けることで、誰がなんと言おうとカンボジアのカレーにしてみました」


このバランスの取り方がさすがです。

こうやってできた、サムライカンボジアカレー!

サムライカレー完成!


さあ、本当に福岡で売れるのか!?

挑戦は続きます。



(次号に続く)



【筆者紹介】


森山たつを


早稲田大学理工学部、日本オラクル、日産自動車、ビジネスクラスで世界一周旅行などを経て、日本人が海外で働く方法を研究する「海外就職研究家」となる。


海外就職に関する書籍、記事などを執筆する傍ら、日本人が苦手としている「外国人とのコミュニケーション」「失敗前提でのチャレンジ」「リアルなビジネス」を体験する研修プログラム「サムライカレープロジェクト」(http://samuraicurry.com)を運営。カンボジア・プノンペンにあるカレー屋を使っての研修プログラムは、既に120人以上の卒業生を輩出している。


主な著書に「セカ就!世界で就職するという選択肢」(朝日出版)、「普通のサラリーマンのためのグローバル転職ガイド」(東洋経済新報社)などがある。


連載:もりぞおの『サムライカレー、世界を喰らう』

第1回:カンボジアでカレー屋を作ったら、カンボジア人がカレーが嫌いだということがわかりました

第2回:カンボジア人に「カレーを美味しくしてくれ」と頼んだら、彼女は練乳に手を伸ばした

第3回:カンボジア人が好きなカレーを作るために、カンボジア人の家に突入してみた

第4回:「当店の『たこやき』はイカを使用しております」―カンボジア水産事情

第5回:飲食店泣かせのカンボジア、物価は安いが、原価は高い」

第6回:1日10時間野外労働、時給は115円――カンボジアの屋台店主は生活できるのか?

第7回:アクエリアスは炭酸入り、スプライトは3倍甘い。そして、サムライドリンク!――カンボジア飲料事情

第8回:カンボジア人にモチは売れるのか?スイーツ突撃実態調査!

第9回:シーフードヌードルは、フィリピン人のおふくろの味?

第10回:マニュアル人間は希少人材!?創意工夫が店を滅ぼす!

第11回:世界最大のラーメンチェーン店は、熊本発のとんこつラーメンです

第12回:プノンペンのイオンモールで大人気なのは、回転しゃぶしゃぶ屋です

第13回:アジアの新興都市プノンペンで繰り広げられるチキンレース

第14回:インド人はナンを食べない!?―インドカレー事情

第15回:「草食系」の南インドではカレーも葉っぱにのってくる

第16回:「ファストフードが1時間半待ち!北京オリンピック会場食料事情」

第17回:ブラジルのファーストフード「YAKISOBA」は日系移民の歴史の足跡

第18回:「派手なのがお好き? カラフル過ぎるカンボジア色彩事情」

第19回:「カンボジアでマーケティング調査!プノンペンでわたあめは売れるのか?」

第20回:「カンボジアでわたあめ100本売る方法―モノを売るな、体験を売れ!」

第21回:「50円はOKでも75円はNG? プノンペンから揚げマーケティング講座」

第22回:「ご飯の国の人だから。おにぎりを買ってくれないカンボジア人」

第23回:「500円の食事は月に1度のごちそう!カンボジアの「ランチ相場」

第24回:「意外にエコ?フィリピン驚きの皿洗い事情」

第25回:「ウニは貧乏人の食べ物!? 世界じゃこれは、ゲテモノ料理!?」

第26回:「中華料理屋は世界のオアシスである。異論は認める」

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