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世界の食を訪ねて

500円の食事は月に1度のごちそう! カンボジアの「ランチ相場」

もりぞおの『サムライカレー、世界を喰らう!』[第23回]

みんなだいすき、1-1.5ドルの豚肉ご飯


飲食の商売をやっていると「相場観」というものがあるということが分かります。

例えば、東京だと、ランチの価格が1000円を超えると「高い」と思ってしまいますよね。


600円と800円の違いよりも、1000円と1200円の違いが大きい。1000円のランチを食べたあとに400円のスターバックスのコーヒーを飲むこともあるのに、1200円のランチは敬遠してしまうのです。

レアアイテム、カンボジアオリジナルスタバカップ



このように、価格というのは純粋な数値よりも、なんとなくみんなが思っている相場が重要です。

そして、その相場は、場所によっても大きく変わってきます。


例えば、以前の記事で掲載した「イオンモールで1000本売れたわたあめ」ですが、これは1本1ドル(100円)で販売しました。



日本の縁日ではわたあめは300~500円で売っているので、それに比べたら安いのですが、カンボジア在住の人に言うと

「結構高いですねー」と言われます。


カンボジア人の一般的な給料は月に120~200ドル(1万2000円から2万円)

日本の10分の1程度なので、わたあめ一本1000円で売っている感じになります。それは確かに高い。


その値段で売れているのが、売っている場所が、カンボジア唯一最大の大型ショッピングモール「イオンモール」であるからです。


ここに来ているカンボジアの人たちは、収入はかなり高いですし、普通の人もお祭り気分で来ているので、ちょっと高くても奮発して買ってくれるのです。

おしゃれおにぎり


しかし、そんなイオンモールでも、値段を1.5ドルにすると、売り上げは目に見えて下がってしまいます。

イオンモールプノンペンのわたあめの相場は1ドルなのです。


ちなみに、サムライカレーがあるプノンペンの街の隅っこ「ロシアンマーケット」の方になると、1ドルのわたあめは見向きもされません。

少しずつ値段を下げていって、やっと買ってくれる人が出てくるのが0.5ドル(50円)



一気にイオンモールの半額になります。


「イオンモールの中はカンボジアではない」と言われるほど、場違いなまでの最新型ショッピングモールなのですが、相場も別の国のような大きな隔たりがあるのです。


そんなカンボジアの人たちの相場なのですが、食事に関してはどうでしょう?

普通のカンボジア人よりもちょっとリッチな子たちが集まる、カンボジアNo.1の難関校王立プノンペン大学の日本語学科の学生にアンケートを取ってみました。

みんなだいすき、1-1.5ドルの豚肉ご飯


まず、普段の食事から。

昨日のランチはいくらでしたか?


0ドル(お弁当)35%

0~1ドル 10%

1~1.5ドル 20%

1.5~2ドル 30%

2ドル以上 5%


彼らにとって、普通のランチの上限は2ドルのようです。



そして、特別な食事。

先月と今月食べた中で、一番高い食事はいくらでしたか?


2ドル以下 5%

2-3ドル 5%

3-4ドル 15%

4-5ドル 40%

5-6ドル 25%

6ドル以上 10% (最高18ドル)


アンケートに答えてくれた人たちも、全員が正確に記憶しているわけではないので、だいたいの感覚で選んでもらっているのですが、「5ドルくらい」というのが大多数の共通認識でした。彼らにとって、月に1回、家族や友達の誕生日やテストの打ち上げなどで行く「特別な食事」の価格が5ドルなのです。


ちなみに、食事の内容は、カンボジアの焼き肉から、日本料理、韓国料理、中華料理、イタリアンなど多岐にわたります。行きたい店をリストアップして、毎月順番に言っている子もいました。


そして、レストランの値段を見てみると、カンボジアの「屋根があるけど壁はない」タイプのレストランの値段はだいたい1~2ドル。

そして、オープンエアの焼き肉屋で食事をするとビールを飲んで肉を食べて、だいたい5ドル。


彼らのアンケート結果とぴったり合致する価格帯になっています。


一方、日本料理のレストランはというと、だいたいランチの値段が4~6ドル程度。

普通のメニューが「月に1回のごちそう」レベルの値段なので、カンボジア人を呼ぶのはなかなか大変そうです。


そんななか、2015年11月にオープンした丸亀製麺はさすがです。

看板に一番大きく書かれている値段が、1.9ドル。



これなら、カンボジア人にも普通に食べられると思ってもらえる値段なのです。


実際は、天ぷらとか追加しちゃって3~5ドルになるわけですが、看板を見た瞬間「ここは自分たちも行ける店だ」と思ってもらえることが大切です。



この価格設定もあってか、お店はいつ行っても、カンボジア人、日本人、その他外国人のお客さんでいっぱいです。

きちんとリサーチすれば、カンボジアへの出店にも勝機があるといういいお手本です。



(次号に続く)



【筆者紹介】


森山たつを


早稲田大学理工学部、日本オラクル、日産自動車、ビジネスクラスで世界一周旅行などを経て、日本人が海外で働く方法を研究する「海外就職研究家」となる。


海外就職に関する書籍、記事などを執筆する傍ら、日本人が苦手としている「外国人とのコミュニケーション」「失敗前提でのチャレンジ」「リアルなビジネス」を体験する研修プログラム「サムライカレープロジェクト」(http://samuraicurry.com)を運営。カンボジア・プノンペンにあるカレー屋を使っての研修プログラムは、既に120人以上の卒業生を輩出している。


主な著書に「セカ就!世界で就職するという選択肢」(朝日出版)、「普通のサラリーマンのためのグローバル転職ガイド」(東洋経済新報社)などがある。


連載:もりぞおの『サムライカレー、世界を喰らう』

第1回:カンボジアでカレー屋を作ったら、カンボジア人がカレーが嫌いだということがわかりました

第2回:カンボジア人に「カレーを美味しくしてくれ」と頼んだら、彼女は練乳に手を伸ばした

第3回:カンボジア人が好きなカレーを作るために、カンボジア人の家に突入してみた

第4回:「当店の『たこやき』はイカを使用しております」―カンボジア水産事情

第5回:飲食店泣かせのカンボジア、物価は安いが、原価は高い」

第6回:1日10時間野外労働、時給は115円――カンボジアの屋台店主は生活できるのか?

第7回:アクエリアスは炭酸入り、スプライトは3倍甘い。そして、サムライドリンク!――カンボジア飲料事情

第8回:カンボジア人にモチは売れるのか?スイーツ突撃実態調査!

第9回:シーフードヌードルは、フィリピン人のおふくろの味?

第10回:マニュアル人間は希少人材!?創意工夫が店を滅ぼす!

第11回:世界最大のラーメンチェーン店は、熊本発のとんこつラーメンです

第12回:プノンペンのイオンモールで大人気なのは、回転しゃぶしゃぶ屋です

第13回:アジアの新興都市プノンペンで繰り広げられるチキンレース

第14回:インド人はナンを食べない!?―インドカレー事情

第15回:「草食系」の南インドではカレーも葉っぱにのってくる

第16回:「ファストフードが1時間半待ち!北京オリンピック会場食料事情」

第17回:ブラジルのファーストフード「YAKISOBA」は日系移民の歴史の足跡

第18回:「派手なのがお好き? カラフル過ぎるカンボジア色彩事情」

第19回:「カンボジアでマーケティング調査!プノンペンでわたあめは売れるのか?」

第20回:「カンボジアでわたあめ100本売る方法―モノを売るな、体験を売れ!」

第21回:「50円はOKでも75円はNG? プノンペンから揚げマーケティング講座」

第22回:「ご飯の国の人だから。おにぎりを買ってくれないカンボジア人」

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