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世界の食を訪ねて

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カンボジアでマーケティング調査!プノンペンでわたあめは売れるのか?

もりぞおの『サムライカレー、世界を喰らう!』[第19回]



わたあめを手にする現地の子ども。……表情がカタい!


この連載のタイトルにもある「サムライカレー」というのは、私が経営しているカンボジアにあるカレー屋の名前でもあり、運営している研修プログラムの名前でもあります。


大学生を中心に、日本人の若者がカンボジアのカレー屋で、外国人スタッフと一緒に商売体験をするという研修プログラム。学生が中心のため、夏休みの8~9月、春休みの2~3月に多くの研修生が訪れます。


そんな8月に、カンボジア唯一最大、最新鋭のショッピングモール、イオンモールから、「夏祭りイベントを開くのでサムライカレーも出店していただけませんか?」というオファーをいただきました。



いつもは、プノンペン市の隅っこで現地の人を相手に商売をしているのですが、イオンモールは顧客層が全く違います。この違いを体験することは研修生にとって非常に大きな学びをもたらすであろうということで、即座に出店を了承しました。


そして、出店の1週間前に大学生を中心とした研修生が到着。

彼らに最初に出された課題はマーケティングリサーチでした。


「サムライカレー周辺と、イオンモール内の、レストランの商品単価を分析せよ」


サムライカレー周辺の店の商品単価データは過去に来た研修生もとっているのですが、イオンモール内の店舗はほぼ手つかずです。そこで一軒一軒、歩いて調査し、どれくらいの差があるのかを確認することにしたのです。



調査したデータを精査したところ、明確な差があることがわかりました。

結論は「サムライカレー周辺よりも、1~2ドル(約100~200円)高い」です。


特に、カンボジア人が常食するカンボジア料理が、サムライカレー周辺では1~1.5ドルなのが、2~2.5ドルであったところから、カンボジア人もイオンでは少し高いお金を払ってくれるということが明確になったのです。


ここから、研修生は戦略を立て始めます。

この戦略を立てるときに重要なフレームワークが「マーケティングの4P」。

Products(製品)、 Price(価格)、 Place(場所)、 Promotion(売り方) の四つをひとつひとつ決めていきます。


「Placeはイオンモール地上階広場の屋台で固定です。テーブルなどを出すことができないので、カレーライスなどの食事はやめた方がよさそう。競合も多いし」


「館内を走っている1周1.5ドルの汽車に子どもがたくさん乗っているので、何か子どもを中心に体験できるようなことをPromotionすれば、お客さんがたくさん集まるのではないか」

レアなアイテム。スターバックス・カンボジアのマグカップ


「Productは食べ物である必要はない。館内で一番お客さんが入っていたのはカフェだし、子どもも多かったので、コーヒーやおもちゃも売れるのではないか?」


このように、各要素を分析しながら、何を、幾らで、どこで、どのように売るかを考えていくのです。


1週間のリサーチ&調査の結果、彼らが考えたメーンの売り物は「わたあめ」です。


Promotionの観点から思いついたわたあめですが、まずはわたあめ機をどのように手に入れるかから考える必要がありました。そもそも、わたあめ機がこの国に存在しているのかすらわかりません。様々な人に聞き込みをして、わたあめを売っている店があると聞いて行ってみたらつぶれていたり、簡単にはいきません。


しかし、Facebookで情報を募集したら、見事にわたあめ機を持っているカンボジア人を紹介してもらい、有償で借り入れることができました。


インターネット、SNSの力はこのカンボジアでも有効です。


そして、手に入れた機械でわたあめをつくり、サムライカレー周辺のカンボジア人に試食してもらうことにしました。



プノンペンの中心地から少しはなれたところにあるサムライカレー周辺の人たちはわたあめなんて見たことがありません(日本でも、普段は見ませんよね)

そして、この国の人は、初めて見るものに対して警戒感を持つ傾向があるようです。


あの謎の白いモノに警戒感を抱くのは当然。でも、わたあめ機を回していると、子どもたちが近寄ってきます。しかし、わたあめをあげても、なかなか食べてくれない。こちらが食べて見せてもダメ。強引に渡してもイヤイヤして食べない。


「これは、わたあめ、ダメかもしれない……」


このように、国が違えば、文化も違う。何が売れるかなんてわかりません。

と、いうわけで、わたあめに加えて、かき氷、アイスコーヒー、そして、バルーンアートを携えて、私たちサムライカレーの一団は、いざ、イオンモールに出店します。


その成果は……次回に続きます。


(次号に続く)



【筆者紹介】


森山たつを


早稲田大学理工学部、日本オラクル、日産自動車、ビジネスクラスで世界一周旅行などを経て、日本人が海外で働く方法を研究する「海外就職研究家」となる。


海外就職に関する書籍、記事などを執筆する傍ら、日本人が苦手としている「外国人とのコミュニケーション」「失敗前提でのチャレンジ」「リアルなビジネス」を体験する研修プログラム「サムライカレープロジェクト」(http://samuraicurry.com)を運営。カンボジア・プノンペンにあるカレー屋を使っての研修プログラムは、既に120人以上の卒業生を輩出している。


主な著書に「セカ就!世界で就職するという選択肢」(朝日出版)、「普通のサラリーマンのためのグローバル転職ガイド」(東洋経済新報社)などがある。


連載:もりぞおの『サムライカレー、世界を喰らう』

第1回:カンボジアでカレー屋を作ったら、カンボジア人がカレーが嫌いだということがわかりました

第2回:カンボジア人に「カレーを美味しくしてくれ」と頼んだら、彼女は練乳に手を伸ばした

第3回:カンボジア人が好きなカレーを作るために、カンボジア人の家に突入してみた

第4回:「当店の『たこやき』はイカを使用しております」―カンボジア水産事情

第5回:飲食店泣かせのカンボジア、物価は安いが、原価は高い」

第6回:1日10時間野外労働、時給は115円――カンボジアの屋台店主は生活できるのか?

第7回:アクエリアスは炭酸入り、スプライトは3倍甘い。そして、サムライドリンク!――カンボジア飲料事情

第8回:カンボジア人にモチは売れるのか?スイーツ突撃実態調査!

第9回:シーフードヌードルは、フィリピン人のおふくろの味?

第10回:マニュアル人間は希少人材!?創意工夫が店を滅ぼす!

第11回:世界最大のラーメンチェーン店は、熊本発のとんこつラーメンです

第12回:プノンペンのイオンモールで大人気なのは、回転しゃぶしゃぶ屋です

第13回:アジアの新興都市プノンペンで繰り広げられるチキンレース

第14回:インド人はナンを食べない!?―インドカレー事情

第15回:「草食系」の南インドではカレーも葉っぱにのってくる

第16回:「ファストフードが1時間半待ち!北京オリンピック会場食料事情」

第17回:ブラジルのファーストフード「YAKISOBA」は日系移民の歴史の足跡

第18回:「派手なのがお好き? カラフル過ぎるカンボジア色彩事情」

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