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京都へおこしやす

中国の旅行サイトが、京都に旅の相談所を開設

担当者は「より深く日本を知りたいというニーズは大きい」

GLOBEの特集「京都へおこしやす」の本編では、日本をより深く知ろうとする中国人観光客が増えていると紹介した。そんなニーズに応えようと、京都の繁華街・祇園の中心部には中国人旅行者向けの休憩所ができた。運営しているのは、中国の旅行サイト「穷游网 (QYER.com)」。旅行代理店と協力して京都の名所を歩く日帰りツアーをつくったり、茶道などの文化を紹介する教室を開いたりしている。観光客は、なにを求めているのか。担当者に話を聞いた。(GLOBE編集部・西村宏治)


中国の旅行サイトが開いた「京都Q-Home」。京都の繁華街・祇園の中心部にある

穷游网 (QYER.com)は2004年に設立された旅行案内サイトだ。1千万人以上のユーザーが、サイト上で自分の体験した旅を共有している。そのQYERが現実の案内所を置くようになったのは、2015年。第1号は、タイの古都チェンマイにつくった。「目新しい体験がしたい」というリピーターのニーズに応えようと、ここでは料理教室などを中心に体験型のツアーを開いている。


京都に同じような「京都Q-Home」を開いたのは昨年8月。これまでに8千人を超える利用があったという。桜の時期も落ち着いた5月に訪ねると、担当の洪妮(30)が取材に応じてくれた。


――京都ではどんな取り組みを。

ひとつは、旅行者の休憩所です。私たちのサイトを見ているお客さまが、休憩したり、情報交換したりする場所にしています。それから日帰りツアーです。私たちがアイデアを出し、旅行代理店の協力を得てツアーにします。基本的には歩くツアーです。たとえば二条城、それからねねの道、高台寺圓徳院、将軍塚などを巡ります。このツアーのテーマは「将軍」ですね。二条城はもちろん徳川将軍に関係しますし、豊臣秀吉は、いわゆる将軍ではないですが、有名な武将です。その妻ねねの開いた高台寺をたずねます。


――将軍塚と言えば、京都の東山、知恩院の裏の山の上です。京都では夜景スポットとして有名ですが、日本人でも歩いていく観光客は少ないところですよ。

そうですね。でも、景色もいいですし、そこまで森の中を散策するのもいいですよね。


――それに豊臣秀吉は、中国でそんなに知名度があるんですか?

いまは有名ですよ。先日は10代のお客さまが親御さんと来られました。ゲームの影響で、どうしても実際の将軍のことに触れてみたいということで。織田信長、豊臣秀吉、徳川家康の3人などは、やはりよく知られていますよ。

将軍塚からは京都市内が一望できる。歩いて上ってくる日本人観光客は少ない。

――ゲームって「信長の野望」ですか。

そうです、そうです。中国でもすごく人気です。でも、日本の方でも「三国志」に詳しい方がいますよね。それと同じじゃないでしょうか(笑)。


――わざわざ実際の拠点を置いた理由は?

ひとつは私たちのビジネスモデルの問題です。これまではネットの仮想空間の中でビジネスをしてきた。そこで、もう少し現実のビジネスに広げていきたいというのがひとつです。


もうひとつは、やはりお客さまのニーズです。このQ-Homeの取り組みは、タイ・チェンマイが最初です。中国人観光客の多くが繰り返し出かけているところで、そこでしかできない、より深い取り組みができないかということで料理教室を始めました。日本についても、2~3年前からでしょうか。私たちのサイトの中でも、かなり細かなところ、地元の方が行くような「本物」のところに行きたいという声が増えてきたんです。


――なぜ京都に?

ひとつは、観光名所として有名なスポットがたくさんあるからです。日本文化の「アイコン」ですね。もうひとつは、やはりうまく関係をつくっていかないと、旅の初心者ではなかなか深いところに入っていくのが難しいし、奥深さ、魅力を理解するのも難しいところだからという面もあります。たとえば大阪であれば、一般の個人の観光客でもそれなりに楽しめるでしょう。でも、京都はやはり案内があったほうが深く楽しめるところだと思います。

Q-Homeの洪妮。「日本語も勉強中ですが、難しいですね」

――それだけ「本物」へのこだわりが出てきている、ということですか。

そうですね。たとえば昼食も、懐石料理を味わいたい、それも本物の京料理を、食材や、その料理の意味などを伺いながらいただきたいということで、菊乃井の露庵さんですとか、有名なお店にもお願いしています。


――それも日本人にも敷居が高いところですね。

やはり懐石料理は四季もありますし、見た目も美しいですから人気があります。そして「本物の懐石料理を食べた」という満足感も大きいと思います。それなりのお店に行きますので、我々のお客さまにも、食材のことや、マナーなどもしっかり分かってもらえればと思っています。


――そういうことを理解したいという方が多い?

増えてきているのは間違いないと思います。もちろん、まだ、入り口ということだと思いますが。いま感じているのは、日本の伝統文化への一番の入り口は、着物だと思います。やはり見た目がきれいで、これは若い人の間ですごく人気です。そして、いったん着物を着ると、日本的な風景のところを歩いてみたいとか、すこしはお茶室に入ってみたいとか、そういう形で興味が広がっている気がします。

中には、まだ数は少ないが土産物も。清水焼など、地元の特産品を集めている。

――茶道教室も開かれていますね。

そうですね。このQ-Homeで、週1度、体験教室を開いています。茶道の教室についても、英語の体験教室は京都にも多いのですが、中国語はまだまだ少ないのが現状です。でも、本格的に習うのは敷居が高いけれど、ちょっと体験してみたいという中国人は多いんです。そこで、その意味とかも含めて、ここで体験してもらう狙いです。本格的に習おうということなら、そこから、たとえば京都の地元の方を紹介するとか、そういうことになっていけばいいなとは思っています。


――今後の展望は?

日本の伝統文化は、茶道だけでなくいろいろありますから、そういうことも含めていろんなことを、より深く学べるようになればいいと思います。京都の地元の方々の助けも得ながら、そういうつながりをさらに深めていきたいというのがひとつです。私たちの「本当の日本を伝えたい、味わってほしい」という思いが伝わればと思っています。


もうひとつは、これはまだ先でしょうが、逆に日本のみなさんに「本当の中国も知ってほしい」ということです。ですから、中国語の講座でもいいし、なんでもいいのですが、私たちの活動にも関心をもっていただいて、そういう地元の方々との交流がより深まっていけばいいと考えています。




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