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韓国のあした

イノベーションの「生態系」

韓国に生まれるか?

中小企業がつくった光線を利用したキーボード


韓国の朴槿恵前政権は、中小企業やベンチャー企業を育てるための「創造経済革新センター」を全国17カ所につくった。「創造経済」は韓国語を直訳した言葉だが、イノベーションといったほどの意だ。

この政策の韓国的な特徴といえるのが、政権が全国をいくつかの地域に分けて、それぞれ担当する財閥を割り当てたことだ。それぞれの財閥は、電子産業や素材産業などといった自分たちが得意とする産業を育てるよう期待されている。

慶北創造経済革新センター

韓国南東部、慶尚北道のセンターの場合は、この役割をサムスンが担っている。センターの職員60人のうち半数はサムスン出身。彼らは中小企業の工場に最大で2カ月ほど出向き、中小企業の社員とともに品質管理や生産ラインを見直したりコスト削減に取り組んだりしている。

このセンターでは、設立から2年余りの間に中小企業308社がこの仕組みを使い、合計で200億ウォン(約20億円)のコスト削減と、平均して不良品を6割以上減らしたという。


技術者としてサムスン電子に30年以上勤め、最後は幹部にもなったセンター長のキム・ジナン(60)はセンターの役割について、大企業の持つノウハウを中小企業が利用できるようにするだけでなく、大企業にとってもプラスになると話す。「米国のグーグルもイノベーションをすべて自前で成し遂げているわけではない。企業合併で取り込んでいるでしょう? どんな企業ももはや1社だけでできることは限られている」。大企業と中小企業がアイデアを出し合ってイノベーションを模索する「生態系」が必要だとの指摘だ。

センター長のキム・ジナン

韓国では政権が変わるたびに政策がガラっと変わるのが常で、選挙のたびに「別の国」が生まれるといっても過言でないほどだ。イノベーションには全く新しいアイデアが必要なのはもちろんだが、それを可能にする基礎的な研究開発も欠かせない。それには長い時間がかかる。今のように大統領の任期5年ごとに政策がころころ変わってしまうのでは、長期にわたる基礎的な研究の力は育たない。これが韓国経済のアキレス腱だ。


センター長のキムは、こう語る。「韓国経済にとってイノベーションや、それに基づいた起業が必要なのは政権が変わっても同じこと。いま大統領選の候補に挙がっている人たちも起業を重んじる発言をしている。このセンターも続いていくと思っている」(神谷毅)

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