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韓国のあした

海外移住めざして大卒が溶接工に

国際移住機関(IOM)移民政策研究院

研究教育室長 オ・ジョンウン




韓国に移り住んだ外国人、外国に移住する韓国人の実態について、ソウルにある国際移住機関(IOM)移民政策研究院の研究教育室長、オ・ジョンウンに尋ねました。(聞き手・神谷毅)




まず外から内への動きについて話しますと、韓国内に住む外国人で最も多いのが朝鮮半島にルーツを持つ中国人たちです。彼らは朝鮮族あるいは中国同胞と呼ばれ、韓国内に70万~80万人います。中国では少数民族の位置づけですし、かつては相対的に韓国の賃金水準が中国よりが高かったので、韓国に働きに来た後で韓国籍に変える人も多かった。しかし5年くらい前からは中国の経済発展もあってか、韓国で永住権は取っても国籍まで変える人はほとんどいなくなっています。


内から外への動きでは、外国に出ていく韓国人の数は統計上では減ってきています。政府への申告が義務ではなくなったためで、実態がつかみにくくなっています。以前は家など財産をすべて売り払って移住する例が多かったのですが、今は韓国の家や銀行口座はそのままにして、外国と行ったり来たりする人も多い。こうした人たちも統計には表れません。


ただ、現地の韓国大使館に登録する仕組みがあり、ここから外国に移住した人たちのトレンドを推しはかることができます。以前は米国やカナダを目指す人が多かったのですが、最近では北欧が増えました。北欧の国々は政策的に高学歴の人を受け入れることが多く、大卒者が移り住むケースが多いようです。

ソウルで開かれた「移民博覧会」


北欧のうち例えばノルウェーをみると、2015年には前年に比べて6割も韓国人の数が増えました。留学生が多いようですが、なかには現地で就職するために留学している人も含まれていると思います。韓国で就職難に苦しむ若者の中には、外国で一生住もうとは思わなくても、とにかく外国でもいいから働き口を見つけたいと考える人も多いようです。


外国への移住を考える若者の間で流行っているのが、溶接工の資格を取ることです。こうした技術を持っていると永住権を得やすいためです。韓国の有名大学を出た人が外国に移住するため溶接工の専門学校にわざわざ通うケースもあるのです。


韓国人の国外への移民は、かつてのように「韓国より良い暮らし求めて」という形ではなくなっています。いま海外に出る人たちの移住の理由は「韓国の暮らしが苦しいから」なのです。しかし外国に移住しても、韓国と同じように現地でもそれなりに様々な困難が待ち受けています。言語も文化も違うのですから当然なのかもしれません。


移住を考えている若者たちに私がアドバイスしたいのは、逃げるように韓国を出ていっても、その地は必ずしも天国ではない、ということです。ただ、だからといって「行くな」と訴えているわけではありません。現地にも韓国と同じように厳しいことがあることを分かって出て行くのと、何も理解せずに行くのとでは全く違うとからです。そして事前に十分に準備してほしい。準備ができていればチャンスをつかむこともできると思います。

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