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アンフェアな世の中で、自分にできることを NGO立ち上げたマレーシアの大学生

World Now 更新日: 公開日:
左古将規撮影

私たちのNGO「難民の避難場所(Refuge For The Refugees)」は、難民のための学校6校を運営しています。2歳から18歳まで、合わせて約700人が通っています。ほとんどがミャンマーからの難民です。


私は今21歳。大学で会計学を専攻しています。専攻は難民支援と直接関係ありませんが、学校運営に役に立っています。


難民のための学校を開設したのは2012年9月です。何もないところから始めました。学校のない難民のコミュニティーを訪ねて、「ここに学校をつくりませんか? 手伝いますよ」と働きかけました。教員を雇い、カリキュラムをつくって、最初の1校を立ち上げました。2年目に3校に増え、今では6校になりました。


難民の中には、もともと教員だったような人たちもいます。そういう人たちを雇いました。今ではフルタイムで24人の教員がいます。1校につき平均4人。ほかにボランティアで教えてくれる人たちもいます。


苦労しているのはやはり、運営資金です。教室の家賃や、教員の給料で、1校あたり年間約7万リンギ(約190万円)かかります。政府は支援してくれませんし、企業も寄付に熱心ではありません。難民学校に寄付しても、税金が控除されることはないからです。頼れるのは、個人や小規模のグループからの寄付金だけです。


マレーシアには15万人を超える難民が暮らしていますが、難民がどんな人たちで、どんな暮らしをしているか、ほとんどのマレーシア人は知りません。私たちは、難民がどんな人たちかを伝えるイベントをショッピングモールで開いて、寄付を募っています。


私が最初に難民支援に関わるようになったのは、高校を卒業した直後です。別のNGOがすでに開設していた難民のための学校で、親友と一緒にボランティアで英語を教えました。そこで私は、自分がとても恵まれていることに気づいたのです。


私はごく普通の家庭の出身です。特にお金持ちでもありません。それでも普通に高校を卒業して、大学に入学できました。でも、難民の子どもたちは公立学校に通えません。アンフェア(不公平)だと思いました。世の中を少しでもフェア(公平)にするために、自分にできることを何かしたいと思ったのです。


世の中のここがおかしい、政府のここがおかしいと、口で言うだけでは何も変わりません。政府の方針を私たちが決めることはできませんが、私たちにできることはあります。私はこれからも、難民の子どもたちが学び続けられるように、闘い続けたいと思っています。