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ソムリエ、醸造所めぐり 手本はワイン






「ビールは、限られた高貴な人のものでなく、庶民のための飲み物であり続けてきた」と話すブーフナー。講座では、食料代わりにも用いられたビールの歴史を教えている。
/photo:Suzuki Akiko

ビールに対する意識調査によると、ビールは気軽に飲めるイメージがつよい一方、「ぜいたく、特別な気分になる」「味わえる」という点で他の酒類に劣っているという(マクロミル、2009年)。ビールの価値をもっと引き上げようと、世界中のビール業界がお手本にし始めているのがワインの世界だ。地域ごとの特徴の売り込みや、醸造所めぐり、食事とのマッチングがビールの世界にも浸透しつつある。


「まずバナナの香りね、それが次第にピーチに変わっていくの。繊細な泡を感じてみて。『北のシャンパン』と呼ばれるわけが分かるでしょう」


ベルリン特産の酸っぱいビール「ベルリーナ・ヴァイセ」を口に含むと、ニコラ・ブーフナー(30)はこう説明した。ドイツ・ミュンヘンの醸造学校ドゥーメンス・アカデミーが04年から開いている、「ビアソムリエクラス」の講師だ。


「ただ飲むだけでなく、その奥深さを学べば、ビールもワインのように楽しむことができる」というのが開講時の理念。受講者はビールの歴史、100以上あるビールのスタイルや様々なフレーバー、香りについて学び、テイスティングの知識を身につけ、自由なアイデアで醸造もしてみる。費用は2週間で2950ユーロ(約42万円)と安くない。だが、醸造家や調理師、企業の広告・販売担当者を中心にビアソムリエを排出している。クラフトビールが人気のイタリアや米国でも開講中だ。


ビールと料理の合わせ方も学ぶ。例えば、バーベキュー料理にはどんなビールがいいのか? ブーフナーが選んだのは「飲むベーコン」とも呼ばれるスモークビア。いぶして香りづけしたモルトを使ったビールだ。フランスパンにトマトやチリをのせたブルスケッタには、フルーティーなインディアン・ペールエールを。生魚をつかうすしには、酵母を濾過(ろか)した透明なヴァイツェンが合うという。こうしたビールのマッチングは、米国のビアレストランでも流行中だ。


ぶどう園に併設されたワイナリーでテイスティングするように、ビールの醸造所を訪ねる「ビール観光」も定着しつつある。米オレゴン州では、04年から、州内の醸造所の住所を記したマップを空港やレストランで配布。バスに乗って醸造所をめぐる有料ツアーもある。アイダホ州では自転車の醸造所ツアーもある。


ワインやお茶の世界で、地理や気候によってつくられる味わいを表現する「テロワール」も、ビール業界で使われ始めた。同じ品種のホップでも、育つ場所や、その年のでき具合によってビールにしたときの風味は違うという。



(鈴木暁子)

(文中敬称略)








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