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日本と台湾、クロマグロの保護も課題

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解体されるクロマグロ=5月下旬、台湾宜蘭県の蘇澳漁港=五十川倫義撮影

クロマグロの保護は世界的な課題になっている。国際機関の中西部太平洋まぐろ類委員会(WCPFC)の推計では、太平洋クロマグロの資源量(親魚)が2010年に過去最低の水準になった。日本や台湾を含め、関係国地域・機関は漁獲量の制限などを進めている。

太平洋クロマグロは太平洋を回遊するが、産卵場が沖縄や台湾の東方沖に広がり、「法令適用除外水域」とも一部重なっていると見られる。日台の漁民がこの水域で漁業資源の保護に協力すると、その意義は大きい。

日台漁業協定に調印した日本の対台湾窓口機関、交流協会台北事務所も漁業資源の保護を視野に入れている。岡田健一・総務部長は「資源保護は漁業協定の第1条に入れている。今はマグロ漁のルール作りなどが焦点だが、いずれかの段階で必ず保護対策を話し合うことになるだろう」と語る。

クロマグロを追って、尖閣周辺に漁船を出している台湾宜蘭県の蘇澳漁港。元漁師も懸念を語った。「5、6年前は1シーズンに20~30匹捕っていた。今は明らかに減っている。将来が心配だよ」

蘇澳区漁会(漁協)の林月英・総幹事は「みんな生活がかかっているので資源の枯渇に対する関心は高い。小さいマグロは捕っても海に帰してはどうかと船長たちと話しています」と語る。「今後、沖縄の方々と資源保護を話し合う機会は大いにあると思う。隻数を制限するとか、捕獲量を制限するとかの方法が考えられます」(五十川倫義)