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Memo02

太平洋で存在感増す中国


太平洋の島国に対する中国の存在感は経済援助を通じて急速に増している。


先進国の場合、経済協力開発機構(OECD)の原則に沿って、所得水準や返済能力によって融資できるかを決めるが、中国にはそうした制約はない。返済期限が長く、低い金利の「ソフト・ローン」による支援も多く、先進国の援助にはなじみにくい「ハコモノ」建設が目立つ。


現地の事情に詳しい笹川平和財団の主任研究員・塩澤英之は「伝統的な支援国ができないことをやっている。現地の政治情勢に口を挟まないのも、支援を受ける側からすればニーズに沿った支援ともいえる」と分析する。


豪に拠点を置く「ロウィー研究所」は独自の調査で、中国の2006年からの10年間の援助額を「17億8千万米㌦(約2千億円)」と推計した。首位の豪州(77億㌦)は別格だが、2位の米国に迫る額だ。


当然、各国の債務はかさみ、返済帳消しや期限延長の交渉をせざるを得ない国も。塩澤は「その交渉過程こそ、中国は重要視しているようにみえる。上の立場に立って交渉を進めることで、新たなカードを持てる」と指摘する。


一方で、中国も最近は無償援助を増やしているとみられる。塩澤は「責任ある援助国としての地位を得ようとする動きにみえる」と言う。


ロウィー研究所の調査した援助は中国を承認した国が対象だ。だが、中国の存在感は、国交のない国々でも観光客や民間投資という形で高まっている。


台湾と国交を結ぶパラオには、10年ごろから中国人観光客が急増し、15年には人口の4倍超の8万7千人が押し寄せた。ダイビング客の急増などで環境面を懸念する声もあり、一時はパラオ政府がチャーター便数を減らす事態に。


11年にマカオ―パラオ間のチャーター便を開拓し、中国人向けのツアーを始めた旅行会社「旅易国際」社長、周立波(49)は「中国人観光客は5、6年で100倍。パラオ経済の発展に寄与している。パラオは歴史的にはアメリカや日本との関係が深いが、長い目で見れば、中国との関係は強くなっていくだろう」と語った。


(市川美亜子)

(文中敬称略)




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