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2017年9月号特集「『命の値段』の決まり方」


正直言って、今回の取材は苦労しました。


まず、テーマ自体が重い。なにせ命に関わることですから、軽はずみなことは書けません。(いや、ふだんはテキトーに書き流している、というわけでは決してありませんが)


第二に、とにかく話が面倒くさい。政治の話と医学・薬学の話とカネの話が複雑に絡まり合い、一見しただけでは訳が分からなくなっているのが「薬の世界」の本質ですから。


第三に、取材先のガードが堅い。創薬の最前線では、数多くのライバル企業が開発競争でしのぎを削っていますから、情報の漏洩に対し敏感になるのは当然です。国と製薬会社の薬価を巡る交渉でも、実際の取引額は「トップシークレット」。ある国が新薬を大幅値引きで購入していることが明るみになれば、他の国の薬価にも重大な影響を及ぼすからです。


そんなわけで、今回の特集は、できるだけ分かりやすく書こうと最大限の努力をしたのですが、それでも読むのは結構大変だと思います。ネットで、短くてさっと読める文章だけに目を通すことに慣れている方の多くは、おそらく歯が立たないでしょう。


だけど世の中には、ある程度苦労しないとたどり着けない世界、というものが確実に存在します。そして、そこから見える風景というのは、とても新鮮で、かつ美しいものです。危険を冒し、体力を使い果たして登り切った山の頂からの眺望のように。


私たち取材チームがあなたにお見せしたいと思っているのも、日常を生きているだけでは決して目にすることができない、「私たちの命を左右している薬の世界」の「本当の景色」です。がんばって読み通した時、あなたの薬に対する見方は一変していることでしょう。

ようこそ、「薬の世界」へ。


(今月の特集はこちらから)


太田啓之

1964年生まれ。公的年金・医療などの社会保障報道、オピニオン報道を経て2015年からGLOBE編集部記者。GLOBEではこれまで「敵か、味方か、食品添加物」「入試とエリート」「医者とカネ」などの特集を担当。


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