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2015年7月5日号特集「大人って何だろう?」







日本に住んだことのある米国の友人と話すと、よく言われることがある。「日本の若者は、親が何でも与えすぎだよ」「子どもっぽい女性が人気っていうのも不思議」。米国の若者は小さな頃から「インディペンデント」であれ、と教育を受け、大学の学費もバイトをしながら自分で払い、18歳で家を出たら親に頼ったりなんてしない――そう主張する彼らが好きなスターも、多くは「幼いアイドルタイプ」ではなく「セクシーな大人」の男女だ。米国で「子どもっぽい」という評価はネガティブに響くだけに、こぞって「自立」を唱える。


彼らからすると、日本の若者は「子ども」に見える、らしい。


私も学費は親に払ってもらったし、なかなかぐうの音も出ないところがある。小さい頃から大切にしているぬいぐるみは今も大事な宝物だ。おっと、米アカデミー作品賞にもノミネートされた『トイ・ストリー3』で、主人公アンディは大学入学とともに長年のお気に入りと決別していたなあ。やっぱり私は「子ども」か?


ところが米国も、大学卒業後に親元に戻って一緒に住む「ブーメランチルドレン」が増えていると知り、取材に向かった。つくづく感じたのは、なぁんだ米国も言えないじゃないの、ということだ。思えば、米国でも親にべったりな同居男性に出会ったことがあるし、学費が親がかりの人だっていた。金融危機以降の雇用悪化が大きいとはいえ、「自立」「大人」を自称してきた米国も、建前の「大人」像が崩れている。


翻って日本では、選挙権年齢が18歳になったのを機に「成年年齢も18歳に」という議論が高まっている。「少年法の適用年齢も下げるべきだ」という声もある。政府や当局を中心に、「早く大人になれ」という圧力が高まっているように感じる。「自立」大国・米国でも大人の定義が揺らいでいるというのに?


大人になるって何だろう。そもそも、みんなが急いで大人になる必要があるのだろうか。この特集が、そんなことを考えるきっかけになれば、と思っている。




藤えりか(とう・えりか)

1970年生まれ。GLOBE記者。昔紹介された米男性は両親と同居。米友人はダメ出ししたが日本の友は「親孝行」と称賛。その認識差を今回かみしめている。







今回の特集はこちらからどうぞ

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