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政治のことは嫌いでも、民主主義は嫌いにならないでください

[Part1]民主主義に異議アリ?


どうせ、何も変わらない。数年に一度、そんなやるせない気持ちにさせられる。選挙だ。投票権を持って四半世紀、自分が票を投じた候補が勝った記憶がほとんどない。望むような政権になったことも。「民主主義だから仕方ない」「日本はそこそこ順調だから気にするな」と言われれば返す言葉もない。だけど、世界の民主主義国を見渡せば、かつてないほど社会の分断が深まり、「独裁的」「強権的」と呼ばれる指導者が存在感を強めている。ふと、素朴な疑問が頭をもたげる。民主主義って、なんだっけ?


(文・玉川透=GLOBE記者 イラストレーション・中村隆)


民主主義に異議アリ?


学校の授業で、民主主義は「重要だ」と繰り返し習った。全ての国民に平等に主権があり、自分たちのことは自分たちで話し合って決める。政治権力が一部の指導者に集中する権威主義的な政治体制に比べたら、よほど素晴らしい。ずっと、そう信じてきた。


ところが最近、教えを請うた政治学者たちから、異口同音にこんなぼやきを聞いた。「民主主義という政治体制に疑問を抱く学生が、驚くほど多い」──。


彼らの教え子のうち、関東の大学に通う学生2人に会うことができた。民主主義のどの辺がダメだと思う?


3年生の女子学生(21)の目には、今の日本の政治がもどかしく映るという。「政党同士が明らかに敵対し、国会ではずっと同じ問題について、相手の悪いところを探り出し、おとしめることばかり考えているように見える」


かといって、彼女たちは、選挙を通じて自分たちの代表者を選ぶ代表民主制を全否定しているわけではない。昨秋の総選挙で初めて投票した2年生の女子学生(20)は、「これが政治参加なんだと実感した。結果を見て、自分が多数派と分かったら、安心した」。


多数派になっての安心感……。私は今までに感じたことのない感覚だ。打ち解けてきたところで、私の抱える疑問をぶつけてみた。少数派って、どう思う?


「選挙で票をいちばん集めた政党が国の代表になる。民主主義とはそういうもの。それは受け入れなくてはいけないと思います」と、3年生の女子学生。


つまり、多数派が少数派を顧みない政策を打ち出しても、少数派が文句をつけるのはおかしい、と?


「そういう考えをする人の方が独善的だという気がします。私はたとえ、自分が納得いかない結果でも受け入れます。ああ、今(の民意)はこれなんだ、と」


親子ほど年の離れた若者にぴしゃりと言われ、うまく言い返せない自分に正直、落ち込んだ。


でも、よくよく考えると、多数決で白黒つけるだけが民主主義ではないはずだ。少数派も含め、いろんな意見を熟議して、より多くの人が合意できる落としどころを探る。そのプロセスが民主主義の肝だったはず……。ばっさりと切り捨てられるから、選挙に行く気もなえる。なにか、良い手立てはないものか。


(「ヒントはAKB48?」に続く)



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