RSS

いまも日本で働きたいですか?

[Part2]住みたいけど働きたくない

プノンペンの学生街には語学学校が軒を連ねる Photo : Asakura Takuya

十数年前に取材したのは、山陰の縫製工場で働く若い中国人実習生たちのストだった。経営者の女性は、残業代の未払いを棚に上げ、私にこう言った。「昔の子はぜんぶ貯金してたのに、いまの子はすぐ化粧品なんかに使うんですよ」。彼女の感覚は一昔前のままだが、中国は急速に変わっていた。


最近のベトナム人実習生は、日本での暮らしぶりをフェイスブックなどで発信するのが好きだ。景色や、買った服の写真。「日本に住んでみたい」。ハノイで出会った若者たちは、口々にこう言った。生きるための出稼ぎではなく、より良い暮らしや経験を求めて、日本に来ているのだ。


そんな彼らが、実は過酷な仕事で体を壊したり、人里離れた寮の6人部屋に住んで1人3万円近い家賃を払わされたりしているのを、しばしば見聞きしてきた。


技能実習制度で外国人を雇うのは、小さな事業者にとっては、実は決して軽くはない負担だ。中間組織に様々な経費を払い、実習生の生活の面倒も見ないといけない。「コストは日本人を雇うのと、あまり変わらない」との声も聞く。それでも実習生を雇うのは、日本人の働き手がいないからだ。


韓国や台湾でも、外国人労働者に対する問題はいろいろ報告されている。ただ少なくとも、外国人を必要としているという現実は受け入れ、より良い仕組みをつくろうと努力しているように感じる。


「日本で働くことについての調査」という、日本国際化推進協会が16年に発表したアンケートがある。対象は、留学生や元留学生。日本政府も、日本に残って働いてほしいと望んでいる人材だ。


日本に「住むこと」に魅力を感じているのは8割に達したが、「働くこと」に魅力を感じているのは2割強にとどまった。実際に日本で働いた経験者は「長時間労働」や「外国人差別」に直面し、変化を嫌う日本企業の体質に違和感を抱いたようだ。


推計では、約40年後、日本の15~64歳人口は16年の7656万人から4529万人と6割以下に、高齢者1人に対する現役世代は1.3人になる。同様に、いまは労働者を日本に送り出している中国や東南アジア諸国も高齢化に直面していく。


ただでさえ、「稼げる」という日本の強みは失われつつある。辛抱強い「昔の日本人」という幻想をアジア各国の若者に重ね、自分たちに都合のいい外国人を求め続けるのであれば、いずれ限界は来るだろう。


(GLOBE記者・浅倉拓也)

この記事をすすめる 編集部へのご意見ご感想

  
ソーシャルブックマーク
このエントリーをはてなブックマークに追加
Facabookでのコメント

朝日新聞ご購読のお申し込みはこちら

Information | 履歴・総合ガイド・購読のお申込み

Editor's Note | 編集長から

PC版表示 | スマホ版表示