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いまも日本で働きたいですか?

[Part1]「開かれた社会」 政治もアピール――台湾

[台湾]台北駅に集まって友人たちとおしゃべりを楽しむインドネシア人労働者ら Photo : Asakura Takuya

「より多様・多文化で、より良い台湾にしてくれた移民のみなさんに感謝します」。外国人労働者を受け入れる側の台湾。総統の蔡英文は12月18日の国連「国際移民デー」に、ツイッターでメッセージを発信した。


これに先だち台北市に近い基隆市で開かれた移民のイベントでは、移民局元幹部で次期市長をねらう謝立功(56)と、国会議員にあたる立法委員でカンボジア出身の林麗?(40)がステージに立ち、結婚や仕事で台湾にやって来た人たちのために取り組んできた政策をアピールした。

日本の政治家は外国人労働者の受け入れについてめったに語らないので、新鮮だ。「この小さな台湾で経済を発展させるためには、多様な人材を受け入れる必要がある」。林は取材にこう答えた。


出生率が日本より低く、大学進学率が9割を超える台湾。主に1990年代から、台湾の人と結婚して中国大陸や東南アジアから来た「新住民」50万人超に加え、家庭に住み込んで高齢者を世話する介護労働者や、工場や建設現場で働く産業労働者を東南アジア諸国から受け入れてきた。その数は増え続け、約67万人。人口約2350万の島では目立つ存在だ。


アジアで初めて同性婚を容認するなど、台湾は与野党こぞって「多様性と寛容さ」のイメージを打ち出そうとしている。


外国人労働者については台湾でも、劣悪な労働環境や、職場からの失踪などがしばしば問題になってきた。ただ、政府も改善に向け、努力しているようだ。


例えば、5カ国語で24時間いつでも相談できるフリーダイヤル「1955」。賃金トラブルやハラスメントなどの訴えがあれば、直ちに関係当局に通報して解決をはかることになっている。17年上半期だけで10万件もの利用があった。トラブルの訴えは1割ほどで、大半は契約などに関する問い合わせだという。仲介業者や雇い主に対する規制も次々にできている。

「かつて我々は雇う側へのサービスに力を入れていたが、いまは労働者へのサービスが主になった」。インドネシアからの介護労働者を中心に年間約2000人を仲介する人材派遣会社「東南亜集団」の蔡岳吟は言う。「今後は、より良いサービスを提供しなければ、良い労働者を得られないということです」


賃金も工場などの産業労働者で平均2万5400元(約9万4000円)。手取りでは日本と大きく違わない印象だ。


だがそれ以上に、各国の人びとに社会を開こうとする台湾で、外国人労働者は居心地の良さを感じているようだった。


毎週日曜、台北駅のホールなどでは外国人労働者が集まって床に座り込み、食べ物を広げて同胞たちとおしゃべりをする。当初、地べたに座らない台湾人には奇異に感じられたようで、苦情や禁止の動きもあったそうだが、いまは気にする人はあまりいなくなったという。


友人とスマホで自撮りをする、ヒジャブをかぶったムスリムの女性たちが、そこかしこで見られる。「台北はどこへ行くのも便利で安全。友人も多く、外国人に対する差別も気にならない」とインドネシアから来て6年になるというエニー(40)。シンガポール、マレーシア、香港で働いた経験があるが、台湾が一番だという。


そばでは、この光景になれた台湾人の若者たちが同じように、友人同士で床に座って談笑していた。


(文中敬称略)


「住みたいけど働きたくない」に続く)



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