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豊かさのニューノーマル(紙面)

[Part3]成長の波に乗ろうとする若者が目指すフロンティアは?

ウガンダの首都カンパラにある乗り合いタクシーの停車場 photo : So Kousuke

「今はアジア発のビジネスで欧米に進出できる時代。その胎動の中に身を置きたい」。起業家の浅谷治希(32)は中国で挑戦しようと決めた理由をこう語る。2013年に立ち上げた教育ITベンチャー「LOUPE」は、教員同士が情報交換する「SENSEI NOTE」を運営。約3万人が登録している。


この夏、人生で初めて北京に降り立った。目を見張ることの連続だった。


ちょっとした移動は自転車シェアサービス「モバイク」で。起業家のためのコワーキングスペースは、見たことがない規模だ。街角には名匠と若手のアート作品がほぼ同じ扱いで並んでいた。「日本にいたら感じられないような活気。中国は便利だと思うものをどんどん導入し、『下克上』が実現できると感じる」


北京の起業家や企業人にも会ううち、決めた。「北京に行こう」。中国語の勉強を始め、12月には北京に家を借りる。来年度以降に中国で新事業を立ち上げるため、準備を進める。


海外でのIT起業といえば米シリコンバレーを目指すのが定石だが、浅谷は最初から念頭になかった。進出先として当初は欧州も考えたが、「アジアが欧州のGDPを抜いた時代の節目に立っている。経済成長の風をより感じられるアジアで勝負したい」と語る。


アフリカ全土に広がる市場


一方、さらなるフロンティアを求めて、アフリカを目指した起業家もいる。


昨年からケニアのナイロビですしの販売とマグロの卸売りを手がける福居恭平(33)は当初、東南アジアで起業することを考えたが、すでに大勢の外国人が進出し、市場が成熟し始めていると感じて、飛び出す場所をアフリカに変えた。「資本も経験もない自分が挑戦するにはアジアはもう遅いと感じた」と話す。


同じケニアで、澤田霞(29)は日本人のビジネスパートナーとともに健康管理アプリを開発する「アフリカスキャン」を立ち上げた。


「実際に動かして使いにくかったところはないですか」。ナイロビにあるオフィスの一室で11月、スタッフと一緒に、女性にアプリの使い心地を尋ねる澤田の姿があった。年明けをめどに本格的にサービスを始める健康管理アプリ「シムウェイ」のユーザーテスト。アプリは健康診断とセットにして企業などに販売する計画だ。


もとは3年前にケニアで健康食品などを扱う売店を始めた。そこで健康診断を無料で実施したところ、女性の半数以上が肥満状態だと分かった。「予防ヘルスケアは成長産業になる」。そう考えて健康管理アプリの開発を事業にしようと決めた。


アフリカではほぼ手つかずの分野だけに市場はケニアにとどまらず大陸全土に広がっている。「以前はただのアフリカ好きだったけど、今はビジネスが目的。経済にインパクトを与えなければ、外国人の私がこの国にいる存在意義はない」と言い切る。


(藤えりか、宋光祐)


(文中敬称略)


「何のために働くのか。根源的な価値観が問われている/ベーシックインカム」に続く)

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