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石炭との別れ方

[Part2]「脱石炭」の兆し



「脱石炭」の兆し


ところが、そのインドの石炭消費の伸びに、陰りが見えてきた。昨年の消費量は前年比3.6%増と、その前の10年間の平均の半分程度になった。

 

インド中央電力庁は昨年12月、国家電力計画案で「今後10年間は、建設中以外に新たな石炭発電所は必要ない」との見方を示した。一時は電力不足が深刻だったインドで、石炭による電力が余り始めているのだ。

 

グリーンピースなどの国際環境NGOが今年まとめた調査によると、10~16年にインドで計画された石炭発電所のうち、74%が中止された。

 

既存の石炭発電所の閉鎖も始まっている。ハリヤナ州との境にあるバダプール発電所は、来年7月に閉鎖されることが決まった。デリー市内に残る唯一の石炭火力発電所で、建設から約40年と古く、PM2.5や大気汚染の発生源として批判されてきた。

 

環境への影響に加え、脱石炭を後押しするのが、太陽光などの再生可能エネルギーの台頭だ。

 

「露天掘りの炭鉱には環境や社会的な問題が山積みだ。国内炭は品質もよくない。技術的にも、経済的にも、自然エネルギーへの移行が可能になってきた。水力を足すとすでに3割を超えている」。インド政府の電力部門関係者は、匿名を条件に語った。政府は自然エネの発電設備を5年後の22年に、原発175基分の1.75億キロワットにする目標を掲げる。「ソーラーパーク」と呼ばれる巨大な太陽光発電施設の建設が各地で進んでいる。

 

ソフトバンクや台湾の鴻海精密工業など3社の合弁会社は5月、ラジャスタン州の太陽光発電入札を、石炭火力発電よりも安い、1キロワット時あたり2.45ルピー(約4.2円)で落札した。

 

シンクタンク「科学環境センター」のプログラムディレクター、プリヤブラット・バティは「石炭の消費量を減らしていくためには、健康や環境へのコストを価格に反映する方法が最も効果的です。インドでは、1トンあたり400ルピー(約700円)の石炭税を課しています。大気汚染の減少や自然エネルギーへの投資促進につながるはずです」と話す。

 

「脱石炭」の兆しは、世界的にも表れている。最新の統計によると、拡大を続けてきた世界の石炭消費量は、14年をピークに2年連続で前年を下回った。米国と中国の減少が大きい。米国はシェールガスへの転換が進み、中国も大気汚染と温暖化防止を理由に石炭火力発電を抑制しているからだ。



(文中敬称略)


(「化石燃料の「終わりの始まり」」に続く)



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