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アトピーと生きる

[Part2]「パッチ・アダムス」になれるか

パッチ・アダムス
photo:Ishihara Takashi

米国で脱ストレスのアイデアを探ろうと、イリノイ州に住む医師に会いに行った。笑いを医療に採り入れ、世界の病院や難民キャンプなどを道化師として訪ねているパッチ・アダムス(72)だ。彼の半生は1998年にロビン・ウィリアムズ主演で映画化された。


彼は高校時代にいじめられ、自殺未遂や入院を繰り返した。病院の患者らとの出会いからユーモアや笑い、愛情が心と体を癒やすことを知り、医師を目指した。18歳で「悪い日はもうこない」と自分に言い聞かせたのだという。


私がストレスという言葉を何度も口にしたからか、彼は「君は本当にストレスが好きだね」と笑って見送ってくれた。


ハッとした。ストレスのことを考えすぎて、ストレスがたまっていた。


アダムスは私の肌を見て、こう語りかけた。「もし、あなたがアトピーを見せながら出歩き、幸せそうにしていたら、不幸だと思っている他のアトピー患者のためになるだろう」


彼の言葉は確かに心にしみた。でも、症状が重い患者にとっては、彼のように不安や悩みがないと自分に言い聞かせ、納得することは、そんなにたやすいことではない気もする。


この記事を書いていた時、上司から何度もダメ出しをくらった。その度に、「仕事って楽しいものなんだ」「そういう今が幸せだろう?」と自分に言い聞かせてみた。


だけど、肌は正直だ。朝起きると、ひっかき傷が増えていた。


ならば行動だ。大好きなラーメンを食べに行ったり、人気フォークデュオ「ゆず」の曲を聞いて励まされたり、1人で夕日をボーッと眺めたり。


考えすぎず、前向きに──。これからもアトピーとの付き合いが続くとしても、この気持ちは忘れないでいよう。そう思った。



取材した記者

石原孝(いしはら・たかし)

1981年生まれ。大阪社会部などを経て現職。この特集が載った後、南アフリカのヨハネスブルク支局長として赴任する。かの地では肌の調子はどうなるだろうか。


イラストレーション

長崎訓子(ながさき・くにこ)

1970年生まれ。イラストレーター。書籍の装画や挿絵、映画に関するエッセーなど多方面で活動中。主な装画の仕事として『武士道シックスティーン』『億男』など。漫画の作品集に『MARBLE RAMBLE 名作文学漫画集』などがある。


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