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感染症との新たな戦い

[Part4]未知の予備軍、永久凍土から目覚める



胎盤組織を調べる日本とブラジルの研究者ら
photo:Ogawa Yusuke

未知なるウイルスは思わぬところからも確認されている。


フランスの研究チームは2015年、3万年前のシベリア永久凍土の地層から巨大ウイルス「モリウイルス」が確認されたとする研究結果を米科学誌に発表した。14年にも同じ永久凍土から別の巨大ウイルス「ピソウイルス」が見つかった。研究チームは「異なるウイルスが簡単に息を吹き返した事実は、地球温暖化による懸念材料だ」と指摘した。


巨大ウイルスは、1990年代に英国の病院で検出されたのが最初の例で、03年に報告された。約0.75マイクロメートルといわゆる普通の顕微鏡でも確認できるほどの大きさで、当初は細菌と考えられていた。だが研究チームは、この検体は他の細胞に寄生しないと増殖できないウイルスだと結論づけた。


その後もチリや豪州で見つかった。病原性はないと考えられている。京都大学教授(生命情報学)の緒方博之は「研究がこれまで進んでいなかった分野であり、温暖化で新たなウイルスが出てくれば自然環境に影響を及ぼす可能性がある」と話す。



インフルエンザも、新しいタイプのウイルスが人に感染している。


中国では13年から鳥インフルエンザウイルス(H7N9)のヒトへの感染が広がり、WHOによるとこれまで約1530人が感染して約590人が死亡した。インフルエンザウイルスは変異しやすく、同じ細胞に別の型のウイルスが同時に侵入すると、まったく違う型のウイルスが生まれる「遺伝子再集合」が起きる。北海道大学教授(ウイルス学)の迫田義博は「中国の生鳥市場などが鳥インフルエンザの発生源になっている」と指摘する。今のところ鳥に濃厚に接触して感染する場合がほとんどだが、感染の反復でよりヒトに感染しやすいウイルスが生まれる恐れがある。シベリアにある渡り鳥の営巣地もウイルスが混じり合って思いもよらぬ変異を呼ぶ可能性のあるスポットだ。


(小川裕介)

(文中敬称略)

(本編2「米・最強機関CDC 自国の安全保障のため」へ続く)






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