RSS

なぜ幼児教育か

[Part4]子どもの未来と大人の責任/中村裕(GLOBE記者)




この春、1歳になったばかりの長男が認可保育園に通い始めた。入園許可の通知を受け取ったときは胸をなでおろしたものだ。ただ、入れなかった家庭もあることを思うと割り切れない気持ちが残った。


国は、2015年に「子ども・子育て支援新制度」をスタートさせ、待機児童の解消を目指している。だが、課題は多い。待機児童の8割超を占める0~2歳児を対象にした小規模保育(定員6~19人)を認めて施設を増やそうとしているが、3歳になってからの受け入れ先を確保できていない施設が少なくないという。保育士資格がなくても保育の担い手と認めるなど設置基準が緩く、拙速な施設増がトラブルにつながらないかも心配だ。毎年計1兆円超かかる新制度の財源も、消費税の10%への引き上げを前提にしているうえ、引き上げてもまだ3000億円足りない状態だ。


子育てを終えた親や子どものいない大人にとって、こうした問題は他人事に映るのかもしれない。しかし、少子化はすべての人の生活にかかわってくる問題だ。乳幼児教育や子育て支援の充実といった投資が、格差の解消につながり社会全体に大きなリターンをもたらすことも分かってきた。子どもの将来が生まれ育った環境に左右されない社会をつくる。それは大人全員の責任なのだと思う。


そのうえで一人の父親として、私が息子に何をしてあげられるのか考えてみたい。


取材を通じて感じたのは、どうやら子どもの才能や関心がどこに向かうのかも分からないうちに早期英才教育に熱を上げない方がよいということ。その代わりに一緒に遊んだり話をしたりすることで人生の「旅支度」を整えた方がよさそうだ。まずは、なるべく早く帰宅し、ちゃんと休日をとる。妻とうまく家事を分担して親子3人の時間をたくさんつくるということになろうか。


考えてみれば当たり前だが、その当たり前をちゃんと続けられるかどうかで大きな違いが生まれるのだろう。子どももそんな親の態度を観察しているはずだ。



取材にあたった記者

中村裕(なかむら・ゆたか)

1967年生まれ。スポーツ部、週刊朝日編集部などを経て、GLOBE記者。この年になって再び家族に恵まれた幸せに感謝の日々。

左古将規(さこ・まさのり)

1976年生まれ。GLOBE編集部を経て5月から大阪社会部記者。氷点下でも外で遊ぶフィンランドの子どもたちを震えながら取材した。

鮫島浩(さめじま・ひろし)

1971年生まれ。政治部、特別報道部、知財室を経てGLOBE記者。同調圧力が強まる教育現場で多様性にこだわる人々と出会い感激。

三島あずさ(みしま・あずさ)

1976年生まれ。地域報道部記者。親子とも保育士のプロの技に何度も救われてきた。幼児教育への注目が待遇向上につながってほしい。



…続きを読む

この記事の続きをお読みいただくためには、購読手続きが必要です。
GLOBE総合ガイド
  • ログインする
  • ご購読申し込み

朝日新聞デジタル購読者(フルプラン)の方なら手続き不要

「朝日新聞デジタル(フルプラン)」を購読済みの方は、ご利用のログインID・パスワードでGLOBEデジタル版の全てのコンテンツをお楽しみいただけます。「ログイン」へお進みください。
朝日新聞デジタルのお申し込みはこちら

この記事をすすめる 編集部へのご意見ご感想

  
ソーシャルブックマーク
このエントリーをはてなブックマークに追加
Facabookでのコメント

朝日新聞ご購読のお申し込みはこちら

Information | 履歴・総合ガイド・購読のお申込み

Editor's Note | 編集長から

PC版表示 | スマホ版表示