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なぜ幼児教育か

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[Part1]天才児を守れ IQ130以上の幼児を集めた幼稚園はなぜできた?



ヌエバスクール副校長インタビュー

撮影:中村裕

わが子の利発なふるまいに「もしや天才かも」と胸躍らせた経験はないだろうか。ただ、本当に天才だったら喜んでばかりはいられないようだ。


「知能が高い英才児にとって、学校の授業は耐えがたいほど退屈。他の生徒の指導に忙しい先生には放置される。クラスメートからは不気味だといじめられる。どれほどつらいか分かりますか?」


そう語るのは米国サンフランシスコで幼稚園から高校までの一貫教育を行う私立ヌエバスクール副校長のテリー・リーだ。ヌエバ幼稚園の応募条件はIQ130以上。同じ年齢の上位2~3%に相当する。飛び抜けた知能の子どもだけを集めるのは、嫌な思いをさせず、伸び伸びと学びに集中できる環境を作るためだ。


全米には、知性や創造性、芸術性などに秀でて、普通の学校教育ではその能力を伸ばすことができない「ギフテッド(gifted)」と呼ばれる子どもが6~10%いるとされる。多くの州がこうした子どもを対象にした教室を開いている。


本来の学年よりも上の学年で学ぶ「飛び級」や、上の学校に進む「飛び入学」も珍しくない。飛び入学の大学生は全学生の約1.6%にあたる約18万人。日本の場合は2015年12月時点の累計で音楽大学など9大学に123人が飛び入学したに過ぎない。


リーも中学生の時、双子の姉はその前の小学6年の時に大学に飛び入学した。「飛び入学は『しないよりはマシ』という選択だった。誰だって同じ年ごろの子どもと一緒に学びたい」と振り返る。同じ年齢の子どもたちとの関わりがなくなり、成熟する過程が損なわれる恐れを指摘する声がある。ギフテッドだけを集めれば、その心配はないとリーは考える。



天才に育てる?

カミラ・ベンボウ
photo:Nakamura Yutaka

南部テネシー州のナッシュビルにあるバンダービルト大学で教育発達科学を研究するカミラ・ベンボウは、理数系の能力をみるテストで上位1%に入った13歳の生徒の人生を、40年以上にわたって追跡調査している。こうした生徒に飛び級を含めた教育的な介入をすると、地位や収入、社会への貢献度など多くの点で介入しない場合に比べて効果が高かった。


日本では英才児を特別に教育することへの警戒感が根強いが、ベンボウによると社会全体の利益にかなう。フェイスブック創業者のマーク・ザッカーバーグや、グーグル共同創業者のセルゲイ・ブリンを引き合いに、こう話した。「彼らは社会を変えました。違いますか?」。みなギフテッドだったという。


ギフテッド教育の必要性は分かった。ではギフテッドにする術はあるのだろうか。ベンボウが答えてくれた。


「そうやって頑張る親を見てきましたが、うまくいったためしはない。むしろ逆効果になりやすい。英才児にしようという発想自体が危ないのです」


(中村裕)

(文中敬称略)

(「『三歳児神話』、ウソ? ホント?」へ続く)

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