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京都へおこしやす

[Part3]新たな観光地

新婚旅行で井波を訪れたグレン・ホー(右)とレイチェル・リー(中央)。

外国人観光客が増えているのは、京都のような有名観光地ばかりではない。外国人の目線も参考に、新たな土地の魅力を伝えようという動きは各地に広がっている。


「親指で刃を支えて少しずつ……。Good!」。木彫家の田中孝明(38)が、身ぶり手ぶりで彫刻刀の使い方を教えていく。桜の木のスプーンづくりに取り組むのは、グレン・ホー(30)とレイチェル・リー(29)。シンガポールの新婚夫婦だ。

 

富山県南砺市井波。2月下旬、2人は人口約9000の「木彫りのまち」にあるゲストハウス「BnC(ベッド&クラフト)」を訪れていた。築50年の民家を改築した宿は1日1組限定で、伝統の木彫りも体験できる。ネットで見た写真に魅せられ、新婚旅行先に選んだという。

 

カフェを経営するホーは「日本の木造建築は梁(はり)や土間が超きれい。トイレまで木の香りがするなんて」。宿をプロデュースする山川智嗣(34)は「井波に新婚旅行なんて、何十年もなかった」と言う。

 

宿の客の7割は外国人で、平均滞在日数は3~5日。素泊まりのみで、周囲の飲食店を英語や中国語で紹介している。「地域全体を『ホテル』ととらえ、地元の活性化につなげたい」と山川は言う。

 

名古屋から岐阜や富山を抜け、能登半島へと至るルートは、北陸新幹線の開通も手伝い、中国の旅行業界で「昇龍(しょう・りゅう)道」と呼ばれて人気急上昇中だ。

 

ルート沿いの岐阜県飛驒市では2012年に500人ほどだった外国人宿泊客数が、16年には約7000人に。古い街並みが人気を集める隣の高山市と違い、飛驒には目立った観光資源がない。人気なのは田んぼのあぜ道などを巡るサイクリングツアーだ。すれ違う小学生が笑顔で手を振り、お年寄りがあいさつする。「日本の田舎探検が外国人の心に刺さっている」と市長の都竹淳也(50)は言う。

 

昨夏公開の映画「君の名は。」のモデルにもなり、海外のファンも「聖地巡礼」に押し寄せた。観光客が道に迷うと車で送ってあげるという住民の対応も、さらなる人の波を呼んだようだ。

 

外国人の視点や感性を生かした取り組みもある。日本三名泉の一つ、岐阜・下呂温泉の老舗旅館「山形屋」は上海出身の盛月芳(51)が4年前から女将を務める。01年に初来日。跡取りとの結婚を機に旅館を手伝うように。ロビーで中国人団体客が大声で話していると、「私も輪に入りたいわ。でも少しだけ小さい声でお願いね」と中国語でささやく「多文化対応」もお手のもの。時々、上海のラジオ番組に出演し、下呂や岐阜の魅力を2カ国語でPRしている。

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