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京都へおこしやす

[Part3]最大の「送り出し国」


日本が観光立国への道を本格的に歩み始めて、15年ほどになる。「訪日外国人を倍増させる」。時の首相・小泉純一郎がそう打ち出したのは、2003年だった。当時は年間500万人。それが16年には2400万人に達した。


伸びを支えたのは、13億人を抱える中国の経済成長だ。国際通貨基金(IMF)によると、中国は一人当たり名目GDPがこの10年で4倍近くになり(図)、世界中に旅行者を送り出している。


国連世界観光機関(UNWTO)のデータでは、中国が海外旅行に使う金額は、12年にドイツや米国を抜いて世界一に。15年の海外旅行者は1億2790万人、使ったお金は2922億ドル(約32兆円)で、2位米国の7350万人、1129億ドル(約12兆円)を引き離した。中国人をどう取り込むかは、世界中の旅行業界の課題だ。


日本も、受け入れ窓口を広げてきた。00年から団体客に限って観光ビザを発給していたが、09年から富裕層などの個人に拡大。その後も中間層などに対象を広げている。政府観光局によると、16年の中国人の訪日旅行者は637万人と訪日外国人全体の26.5%を占めている。


バブル崩壊後、日本の経済は伸び悩んでいる。戦後の成長を支えた製造業では、工場の海外移転も加速。景気を支える個人消費も、人口減による先細りが心配だ。そこで、観光に来た外国人にお金を使ってもらい、経済活性化につなげようという期待が政府や自治体に広がっている。


だが、そううまくいくのだろうか。観光都市・京都に目を向けてみよう。


03年に45万人だった京都市内での外国人宿泊客は15年に300万人を超え、観光消費額も1兆円近くになった。


その結果、シーズンともなれば、観光バスで道路は大渋滞。空き家にも外国人が入れ代わり立ち代わり泊まるようになり、住民には不満や不安も広がる。SNSの普及で、日本人には思いもつかない場所が突然人気を集めることもある。迎える準備もない場所に、外国人観光客が押し寄せる。観光で国を開くとはそういうことだ。


政府は訪日外国人数の目標を20年の4000万人へと引き上げた。来る人への理解と、受け入れる覚悟と準備がなければ、来る人も、迎える人も不幸になりかねない。


(倉重奈苗、西村宏治)


(文中敬称略)


「取材記者から」に続く)



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