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韓国のあした

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[Part2]中東に広がる「韓流」



中東に広がる「韓流」

ドバイの「韓流ショップで化粧品を探すマリヤム・シャヒ 撮影:佐古将規

「医療韓流」。そんなネーミングまでして、韓国政府は外国人を国内の医療機関に呼び込むことに躍起だ。最近、とりわけ中東に熱い視線を送る。韓流といえばドラマが思い浮かぶが、ビジネスもセットで輸出されている。韓国企業が中東に進出する際の拠点となっているアラブ首長国連邦(UAE)で2月上旬、取材した。


韓国で昨年大ヒットしたドラマ「太陽の末裔」は、世界35カ国で放送された。主人公の女性はソウル・江南のきらびやかな病院に勤めるスター医師。紛争地に派遣され、アラブの政治家の手術に成功する姿は中東でも視聴者の心をとらえた。韓国保健産業振興院UAE支社長、イ・スギョンは、医療韓流を推し進めるうえで「韓流ドラマによるイメージアップの効果は大きい」と言う。


韓国に治療を受けにくる外国人の目的は美容整形手術だけでなく、がんや白血病などの治療も増えているという。韓国保健産業振興院によると、訪韓外国人患者の数は2010年の8万2000人から15年は29万7000人に増えた。政府が昨年11月に発表した5カ年計画ではこの数を80万人に増やすことを目指す。国別では中国や米国が多いが、中東・北アフリカ18カ国からの患者も949人(10年)から6101人(15年)に増えた。



中東にはなかった「スキンケア」という化粧文化


中東は、世界へ広がり続ける「韓流」輸出の最前線だ。「冬のソナタ」で04年ごろ始まった日本での韓流ブームは日韓関係の悪化とともに失速。巨大市場の中国では昨年末以降、在韓米軍の高高度迎撃ミサイルシステム(THAAD)配備に対する反発が強まる中、韓国ドラマが放映されない状態が続いているという。韓国コンテンツ振興院のグローバルビジネス支援本部長、キム・ラクキュンは「文化の近い東南アジアでも韓流は広まっているが、新たな市場も開拓したい。そこで重視するのが中東だ」と言う。


韓流人気は「美」の売り込みにもつながる。「化粧品は韓国のものしか買わない」。黒い布で全身を覆う「アバヤ」を着込んでそう話すのは、首都アブダビに住む会社員マリヤム・シャヒ(30)。10代後半のときに「宮廷女官チャングムの誓い」を見て以来、韓国ドラマや音楽の大ファンだ。韓国旅行にも4回。UAEで韓流サークルの立ち上げにも加わった。「韓国の化粧品は価格が手ごろで、今までになかった商品が手に入る」という。


それまで中東にはなかった「スキンケア」という化粧文化を韓国製品が広げる。「韓流女優のような肌になれる」という触れ込みで若い女性を中心に人気を集める「マスクシート」を韓国からUAEへ輸出している商社の社長、パク・ヨンウクは言う。「日本や中国の化粧品市場は競争相手であふれているが、中東は、まだ未開拓で、将来性が大きい」



若年人口を狙え


大手財閥LG系のブランド「ザ・フェイスショップ」は06年にヨルダン、翌年UAEに出店。現在ではサウジアラビア、オマーンなど中東周辺6カ国に約60店を展開。16年は70億ウォン(約7億円)を売り上げた。韓国の化粧品最大手「アモーレパシフィック」も今年下半期に傘下ブランド「エチュードハウス」をUAEのドバイに出店して後を追う。


大韓貿易投資振興公社(KOTRA)によると、韓国から中東への化粧品の輸出金額は2704万ドル(約30億円、15年)。12年の1.4倍だ。日本と同じく人口減で国内市場が縮む韓国経済。KOTRAドバイ貿易館次長のイ・ヒョヨンは「中東は若年人口が多く、人口や所得水準もこれから上がる。中東の韓流ファンはまだ少数だが、若い女性が多い。彼女たちが結婚し、家庭を築けば、韓国に親しみを持ってくれる層はぐっと広がる」と期待する。



(文中敬称略)

「奇跡は奇跡的に訪れない」に続く)



左古将規(さこ・まさのり)

1976年生まれ。GLOBE記者。大学院時代に文化人類学の研究のためソウルに1年滞在した。「冬ソナ」前で、その後の韓流は想像できなかった。


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