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韓国のあした

[Part1]内なる外国、「多文化」




「入学式、面白かった! みんなで風船を飛ばしたの。夢を書いて。私は歌手って書いたよ」

淡いピンクのドレスを着たホン・ヨンジュ(6)は照れながら話した。ここは韓国南西部、全羅南道の山あいにある人口3万の谷城郡。谷城中央小学校には3月2日、67人が入学した。

見守った母親は「家族いっしょで本当に幸せ」と話した。ただ、その韓国語はたどたどしい。トティ・メン(33)。ベトナムから10年前、国際結婚の仲介業者を通して韓国人男性に嫁いだ。


入学式に出た全校生徒を見ていると肌の色など雰囲気がちょっと違う子どもたちが何人もいる。式に来た母親の姿を追うと理由が分かった。「ベトナムやフィリピン、タイやカザフスタンなどから来た女性です。こうした『多文化』の子どもは新入生で8人、全校で約1割います」。校長のチョン・ミソン(56)が説明してくれた。


韓国で多文化とは主に、韓国人と結婚した外国人がいる家庭、その子らを指す。「多文化の家庭」「多文化の子ども」といった使い方をする。日本と同じように少子高齢化が進む韓国を象徴する現象の一つだ。


「嫁(ミョヌリ)不足」に悩む地方の家庭、韓国に稼いで母国へ仕送りしたい発展途上国の女性、その仲介を商機とみた業者の思惑が重なり、2000年代初めに国際結婚ブームが起きた。この多文化の家庭によるベビーブーム世代が小学校に入りつつある。



イエを絶やすことが先祖への罪


谷城中央小学校よりさらに山に近い小さな学校だと5割を超えるところもある。全国でみると、中学生以下の多文化の子どもは14年に1%未満だったが、16年は1.7%。前の年に比べて2割増えて約10万人となった。


嫁いだ外国人の女性が韓国社会に根を下ろして15年余り、数多くの問題が起きた。全国には彼らを支援するセンターが200カ所余りあるが、谷城郡のセンター長を務めるムン・ミソン(57)は「女性は韓国語ができないまま来るので意思疎通が難しい。夫やその両親には女性をカネで『買った』との意識があり、逃げないようパスポートを隠すことも多い」と話す。離婚、家庭内暴力、家出……。「うまくいっている家庭は全体の4分の1ほど」というのが彼女の実感だ。


閉鎖的とされる儒教の考えが色濃く残る地方で、外国人を嫁に受け入れるのはなぜか?

「外国人の血を入れるより、イエを絶やすことが先祖への罪」と考えるからだ。韓国では多くの家庭にある家系図に、嫁いできた女性の名は載らない。


子どもにも深刻な問題が待ち受ける。家庭で韓国語をしっかり教えられず、勉強に悪影響をもたらすことが多い。政府も学校やセンターを通して支援を手厚くしているが、谷城中央小学校の校長のチョンは「地方では韓国人の暮らしも厳しい。多文化の子どもへの支援を『逆差別』と批判する韓国の親もいる」。郡や学校、センターとの橋渡しに努める郡議員のユ・ナムスク(52)は「母親や子ども、家庭だけを見てはダメ。社会全体で考えないといけない」と訴える。

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