RSS

韓国のあした

この記事をすすめる 編集部へのご意見ご感想

  
ソーシャルブックマーク
このエントリーをはてなブックマークに追加

[Part4]変わることを恐れない




激動が続く韓国の「いま」を、朝鮮半島の現代史に詳しい米国コロンビア大学教授のチャールズ・アームストロング(55)に読み解いてもらった。




韓国は、大きな転換点を迎えている。


昨年から今年にかけて、世界でもまれに見る大規模なデモが続いた。過去の大統領に比べて、朴槿恵のスキャンダル自体はそれほど悪質ではないと見ることもできる。にもかかわらずこれだけ大規模なデモが長期間続いたのは、政治に限らず、社会全体に対する強い不満が人々の間に蓄積されていたからだろう。


不満の背景には「圧縮された近代化」がある。西欧が200年、日本は60年かけて経験した近代化を、韓国は30年で達成した。国家を挙げて財閥を後押しし、世界で例を見ない急激な経済成長を実現した。テクノロジーの活用などでは他国を追い抜き、「ハイパー近代」と呼べる部分もある。


人々が競い合ってより良い暮らしを求める中で、教育競争は激しくなり、外国へ移住する人も多く現れた。ドラマや音楽も国家を挙げて支援し、「韓流」輸出が成功した。



日本に選択肢を示してくれる存在


だが今、急激な近代化のひずみが、政治的にも、経済的にも、文化的にも、噴き出している。経済は急成長を続けたが、1990年代後半の通貨危機以降、不確かになった。過度の競争は若い人たちを苦しめている。伝統的な大家族が崩壊するだけでなく、経済的な問題で結婚したくてもできず、核家族さえつくれない人たちも多い。農村部は多くの外国人花嫁を呼び込んだ。


急速な近代化は、元大統領の故・朴正熙(パク・チョンヒ)のもとで始まり、その娘の朴槿恵の罷免とともに終わりを迎えようとしている。


韓国は朝鮮戦争以降、いったんゴールを決めたら、そこに向かって全国民で突き進む力を見せてきた。ひょっとしたら今後、GDP世界一ではなく「国民総幸福量」世界一を目指す国に生まれ変わることだってできるかもしれない。そんなことを言うと、また新たな競争を呼んでしまうかもしれないが(笑)。


受験戦争や少子高齢化を始めとして、韓国と日本は共通する課題を多く抱えている。ただ、日本が保守的で変化を好まないのに対し、韓国はリスクを恐れず、大胆に、迅速に、変化を続けてきた。日本にとって韓国は、「こういう変化もありうる」という選択肢を示してくれる存在だと言えるのではないか。


(聞き手・左古将規)

「根を張る財閥」へ続く)




Charles Armstrong

米国人の父と韓国人の母の間に韓国・大邱で生まれ、4歳のとき家族で米国に移住した。著書に『TheKoreas』『近代東アジアの歴史』など。





Facabookでのコメント

朝日新聞ご購読のお申し込みはこちら

世界のどこかで、日本の明日を考える 朝日新聞グローブとは?

Editor’s Note 編集長から