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国境を越える電力

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[Part1]ロシアから輸入、北方領土で再浮上


世界の動きとは対照的に、電力網の「鎖国」状態だった日本。しかし、開国を迫る「黒船」は北からやってきた。


昨年12月16日、東京・永田町の首相公邸。ロシア大統領のウラジーミル・プーチン(64)は首相の安倍晋三(62)との共同記者会見で、「日本に手頃な価格、最短経路でガスと電力を提供する」と日本への電力輸出に意欲を見せた。


プーチンが言及した「エネルギーブリッジ」は、サハリンと北海道を海底送電線で結ぶ構想だ。極東開発を目指すロシアが何度となく持ち掛け、2011年の東日本大震災後にも支援として提案したが、数千億円規模の投資がネックになって消えてきた。


それがプーチン訪日で「復活」した。


プーチンは昨年9月、ウラジオストクの国際フォーラムで、日ロ中韓の企業による電力網構想を「歓迎する」と表明し、政府同士の話し合いを提案。北方領土問題の呼び水に日本側が示した「8項目の経済協力」めがけて投げ込んできた。



電気事業法は電力輸入想定せず


1週間後、その「日ロ中韓」の企業トップらが丸の内で顔をそろえていた。


シンポジウムの壇上でソフトバンクグループ社長の孫正義(59)は前列に座る中国国家電網公司前会長の劉を「お兄さん」と呼んで見せた。大震災を機に、アジアを電力網で結ぶ「アジアスーパーグリッド構想」を提唱していた孫は昨年1月、劉と意気投合し、「うれしくてたまらなくて、抱き合ってマオタイ酒をがっと飲んだ」。3月には、電網とロシア、韓国の送電会社と国際的な送電網の事業化調査で合意した。


例えばサハリンと宗谷岬なら約40キロ、釜山と福岡は約200キロ。技術的には、海底送電線は可能との見方が多いが、実現への道のりは距離以上に遠い。


日本の電気事業法は電力輸入を想定していないうえ、パイプラインによる天然ガス供給で欧州を揺さぶってきたロシアと電力網で結ばれることへの警戒感も強い。経済産業相の世耕弘成(54)は「経済的メリットがあるのか、よく検討しないといけない」と慎重姿勢。「優先事業」とはせず、研究対象との位置づけにとどめている。



(村山祐介、梶原みずほ)

(文中敬称略)

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