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[Part3]記者がAIと速報記事で対決!


人工知能(AI)の取材中、新聞記者の仕事もいずれAIに取って代わられるよ、と何度も言われた。AIが原稿を書くって、本当に? 記者ほど「人間くさい」職業はないのに??


真偽のほどを確かめようと、12月、東京工業大学の研究室でAIとの「対決」に挑んだ。


勝負するのは、野球の試合の戦評だ。初任地の和歌山支局で高校野球を担当して以来。地方大会では一日3試合、ルール本を片手に必死でスコアブックをつけ、戦評を書いた。事件取材で走りまわる方が性に合う私は大の苦手だったが、記者と人類のプライドをかけての戦いだ。負けるわけにはいかない。20年ぶりにスコアのつけ方を復習した。




お題は2016年日本シリーズの広島対日本ハムの第2戦九回表(上)。参照するのは選手の打席順と成績だけだ。開発を主に担った修士2年の村上聡一朗(25)がAIにデータを入れると文章が画面に出力された。その間、たったの0.08秒。



これに対し、私は47秒かけて以下の戦評を書き上げた。



打者成績だけを学習データとして使うため、走者数や打点数など予測できない情報は出てこないとはいえ、私が1本書く間に、AIは500本以上の戦評を書けるってこと?


村上が、AIでイニング速報を自動作成する研究に取り組んだのは約2年前。打者成績からどんな出来事があったかを予測させるため、人が書いた速報と打者成績をペアにしたデータを読み込ませ、両者の関係を機械学習させる。重要な出来事に注目し、連続する安打はまとめて連続安打と表現できるようにするなど、2万件の記事を使って訓練し、「人間と同程度」(村上)の速報を作れるようになった。


でも、待てよ。記者が書く戦評には「腕の故障を克服して」といった、取材に裏打ちされた評価が入る。AIにそんな文章、書けないでしょう?


そう尋ねると、指導教員で同大准教授の高村大也(42)は「データの情報源さえ明確なら可能です。いずれ、選手の体調などの情報も入れた個性的な戦評やサッカーの実況中継にも取り組みたい」


AIがリアルタイムで戦評を書いてくれれば、もっと球児のドラマを取材できる。そっちのほうが断然楽しい。なんだか未来の新人記者がうらやましくなってきた。


(倉重奈苗)

(文中敬称略)

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