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トイレから愛をこめて

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[Part5]お金が回れば快適に/日本






都心部の商業施設ではいま、トイレが客争奪戦の切り札になっている。


東京・渋谷駅前に3年前にオープンした複合施設「渋谷ヒカリエ」では、商業エリア「シンクス」の豪華な女性用トイレが話題になった。内部は広く、一息つくためのソファ、体についたにおいや花粉を吹き飛ばすエアシャワー、化粧品を無料で試せるコーナーもある。


「主要顧客層の20代後半?40代前半の女性たちが、通勤途中の渋谷で途中下車しないのはなぜか。再開発が遅れた渋谷では、他の街に比べ古いビルが多く、きれいなトイレが少ないからだと考えた」と、シンクスの馬場知瀨子は話す。似たような商業施設が増え、商品やテナントで他店と差別化を図るのが難しくなる中、客に足を運んでもらうには「いかに想像以上の体験をしてもらえるか」がかぎだ。トイレ清掃は1日に10回入れるという。


私鉄各社や、民営化後のJRや高速道路会社も、洋式化やペーパーの設置などで改善を重ねる。都内の地下鉄を運行する東京メトロがトイレ1カ所にかける改修費は5000万~8000万円にも上る。


一方で、「公共」トイレにも格差が生まれている。トイレの設計に関わってきた建築家の小林純子は、学校や公園などのトイレはいまだに清潔とも安全ともいえないことが多く、都市と地方の格差もあると指摘する。「公共トイレは、本来最もプライベートな空間を他人と共有するという矛盾を抱えている。お金をかけても利益にならないような場所のトイレは取り残されています」


(田玉恵美)

(文中敬称略)

(次ページへ続く)








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