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着物に明日はあるか?

[Part5]まとって遊ぶ







「面倒くさいのが楽しい」と話す川原マリア(右)/photo:Tadama Emi

右肩下がりの着物市場だが、一部で、気軽に日常的に着たいという消費者も出てきている。1月末から6日間、神戸市ではカジュアルな着物を販売する「きもの万博」がにぎわいをみせた。綿など手入れが簡単な素材が中心で価格帯は1万~5万円。


京都市の大学生、土居眞由子(20)は、生まれて初めて着物を買った。白地にピンクやグレーの幾何学模様をあしらった現代的なデザインで、素材は家でも洗えるポリエステル。帯と合わせて5万円ほどだった。「浴衣を着たとき、友達に洋服より似合うと言われたんです。さっそく着物で彼と出かけたいです」


兵庫県洲本市の主婦、喜田千夏(42)は羽織などを買った。「着方によっては楽だし、体形も気にせんでいい。手入れが楽でデザインのいいものが出てきて、着る機会がすごく増えました」


高級品を扱う百貨店にも、変化の波は押し寄せている。東京の三越日本橋本店は2013年、オーダーメイドしか扱ってこなかった売り場に初めて、プレタ(仕立て上がり)の着物を売るコーナーを作った。価格も10万円ほどに抑え、上等なワンピースと同じ感覚のコーディネートを提案。三越によると、「新規顧客が多く、想定を上回る支持を得ている」という。近年の浴衣ブームをきっかけに、着物に興味を持つ人も多い。京都など観光地では、レンタル着物も人気だ。



インクジェット着物が売りの居内商店を訪れたデザイナーの川原マリア(28)は、月に10日は着物で過ごす。「普通に」着るときもあるが、内側にタートルネックのセーターを着て、足元をブーツにすることも。「街で『あんなの着物じゃない』とかチクチク言われることもあるけど、気にしません。ファッションなのに、なんで周りの都合に合わせないといけないの?」


染織史や服飾史を研究する武蔵大学教授の丸山伸彦は、こうした多様な価値観こそが、歴史的に着物の発展を支えてきたと指摘する。「日本人は新しい文様や着方を次々に考案して着物で遊んできました。だからこそ江戸時代に世界で初めて流行が生まれ、豊かな服飾文化が花開いた。だが、今は遊び方を忘れてしまっていて、もったいない」




(文中敬称略)

(次ページへ続く)





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