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着物に明日はあるか?

[Part3]なぜ高い?着物が届くまで






着物には染め方で大きく分けて、「染め」と「織り」の2種類がある。


織りは、先に染めておいた糸を使って布を織っていく。結城紬や大島紬がその代表といえる。染めは、生糸で織った白い反物に、後から色や絵を染めつけていく。京友禅や加賀友禅が典型だ。


いずれも分業制で作られることが多い。京友禅を例にみると、染料がにじまないようにするため下絵の線に沿って糊を置く「糊置」や、染料を定着させるための「蒸し」、余計な染料を落とすための「水元」など20以上の工程に細かく分かれている。それぞれの職人の手を通してできあがっていく。


流通過程も複雑だ。「染加工元卸問屋」は名前こそ問屋だが、各工程の職人たちを抱えるメーカーに仕事を発注する、いわばプロデューサーの役を担っている。着物はここから「前売問屋」に卸され、さらに地方問屋に渡り、小売店や百貨店などに届くのが主なルートだ。




最終価格がメーカー出荷額の10倍以上に


流通の各段階で、問屋などは利益となるマージンを上乗せしていくため、消費者が手にするまでに価格は押し上げられていく。マーケティングが専門で、着物の流通を研究した立命館大学准教授の吉田満梨は「最終的な価格はメーカー出荷額の数倍から10倍以上に跳ね上がってきたといわれる」と話す。


吉田によると、売れずに残った場合、小売店が問屋に返品できる「委託販売」という独特の仕組みも、価格が高くなる原因の一つだ。常に返品のリスクを考えなければいけない問屋は、あらかじめ卸値を高くすることで、もうけを確保しようとしがちだからだ。着物の市場が縮み続け、経営環境が厳しくなるなか、「こうした流通構造が、さらに強固になっている可能性もある」と吉田はみる。


消費者の「着物をみる目」が衰えてきた点も、価格が高くなる背景にあると吉田はいう。着物がフォーマル化・高価格化して日常的に接する機会が減り、消費者の着物の知識も乏しくなって何が良いものか見極めることが難しくなった。「高いものほど品質が良い」と、価格が品質のバロメーターとされるようになり、業界の側が価格を高めに設定する余地を広げたとの見方だ。



(文中敬称略)

(次ページへ続く)





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