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着物に明日はあるか?

[Part2]加速する着物離れ、縮む市場







日本の伝統衣装といわれる着物の売り上げが減り続けている。経済産業省の商業統計などによると、1982年に2兆円あった着物業界の売上高は、2012年に4400億円まで落ち込んだ。最新の数字は、統計手法の変更で寝具業界の売り上げと合算されているため、着物だけの売り上げだと2000億円ほどとみる業界関係者も多い。そうだとすれば、ピークの10分の1だ。


京友禅を例に取ると、生産量は1971年度の1652万反をピークに、2013年度は43万反(1反は幅が約38~40センチ、長さが約12メートル、京友禅協同組合連合会まとめ)。往時の約2.6%の規模まで縮小している。


マーケティングや服飾史の研究者によると、戦後、洋装化が進んだことや、原材料費と人件費の高騰もあり、業者の多くが高価格・フォーマル化に傾いた。売上高の減少を、単価を高くして補おうという作戦だった。テレビなどメディアの発達もあり、成人式や結婚式、嫁入り道具用に盛んに宣伝。経済成長とともに消費者の自由に使えるお金が増え、市場は広がり続けた。


だが、1990年代以降にバブル崩壊や少子化の影響が色濃くなると、市場も一転して縮み始めた。業界が着物の使用場面を限定したため、「日常着」でなくなったことが裏目に出たと研究者らはみる。


内閣府などの調査によると、1967年には20代以上の女性の約3割が6~10枚の絹の着物を持っており、持っていない人は2.7%に過ぎなかった。ところが2008年に20~40代の女性に尋ねたところ、着物の着用経験者の約36%が保有数ゼロと答えている。


生産の基盤も弱っている。最大産地の京都では、京友禅も西陣織も携わる人の数が激減。市によると西陣織では1975年の約2万3000人から11年では3100人ほどにまで減った。多くの工程に細分化され、業者は一つの工程を専門に担うため、ある業者が廃業すれば連鎖しやすい。京都に次ぐ規模の新潟県十日町市も、十日町織物工業協同組合によると生産は10分の1弱に縮んだ。職人の高齢化も進んでいる。




(次ページへ続く)






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