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メンタルヘルス

[Part4]ニコラス・ローズ・英キングス・カレッジ・ロンドン教授に聞く








現代社会において、心の病が増えた理由はさまざまで複雑だ。


今や、世界の人口の半分以上が都市に暮らしている。暴力、貧困、排他主義など、都市にはあらゆるストレスがある。どんな要素が心の病を引き起こすのか、医学と社会学の専門家がともに調べる必要がある。


心の病は脳の病気と信じられているが、脳でどうやって診断するのか、脳でどう治すのか。明確な答えをまだ誰も見つけていない。


それでも、重いうつ病や双極性障害、統合失調症など一部の症状によく効く薬があることは分かってきた。重い心の病と診断されても、外で働ける可能性が出てきた。家族や職場や社会が差別しなければ、実りある人生を送れるのだ。


本当に苦しんでいる人たちと、うつや不安を感じているが何とか暮らしている人たちは、区別しなければいけない。


症状の軽い人には心理療法が効果的だと思う。ただ、英国でも心理士が足りず、待ち時間が長い。資金の少ない国で大規模に導入するのは困難だ。


いわゆる途上国では、専門家以外の地域の人材に期待したい。ブラジルでは地域にメンタルヘルスセンターが置かれ、心の病を抱える人を支援する動きが職場にも広がっている。


私たちはすでに、体の障害については世界をより良く変えてきた。車いすを使う人のために歩道の段差をなくし、窓口に(補聴器を聞こえやすくする)磁気誘導ループを置く銀行もある。


体の障害以外でも、生きづらさを感じている人たちへの配慮は広がっている。英国のある店ではクリスマスを前に、強い刺激が苦手な自閉症の子どもたちのための特別な日を設けた。まぶしい光を消し、うるさい音楽も止めて、クリスマスの買い物を楽しめるようにした。


心の病に苦しむ人たちのためにも、環境を変えることはできるのだ。


(聞き手・左古将規)

(今回の「編集長から」は「心の病すぐそばに」です)





取材にあたった記者



左古将規(さこ・まさのり)

1976年生まれ。大阪社会部を経てGLOBE記者。大学時代の友人が20年近く抗うつ薬を飲み続けてきたことを最近知った。心の問題について考え続けたい。


後藤絵里(ごとう・えり)

1969年生まれ。細川貂々さん・ツレさん夫婦に学んだ。世の中がどんなに速く進もうが、自分のペースで歩けばいい。世間とのほどよい距離を保ちたい。


浜田陽太郎(はまだ・ようたろう)

1966年生まれ。ストレス耐性の無さには自信あり。社会保障を取材して15年だが、宇宙と介護を結んだ山崎直子さんの発想力には脱帽した。














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